1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02610095
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉沢 四郎 中央大学, 商学部, 教授 (90055088)
|
Keywords | 豪雪山村 / 活性化 / 地域資源 / リゾ-ト開発 / 担い手 / 内発的発展 / 自然保護 / 草の根住民運動 |
Research Abstract |
第一年度の本年は,まず(1)新潟県庁をはじめとする関係機関で,県全体の農業,地方史関係資料の収集をおこなった。(2)県下の豪雪地帯にある津南町を対象に現地調査を実施した。津南町の調査は,1)町内の地域社会活性化の担い手である役場,農協,森林組合,活性化センタ-,グリ-ンピア津南などの諸集団のヒアリングを行なった。2)津南町の中で農林省苗場山麓農地開発により経営規模を拡大した谷内集落(33戸)と水田を中心とした山間集落太田新田集落(36戸)のアンケ-ト調査と農家経営調査を実施した。 現代山村の活性化の方法として,山村の地域資源を生した多様な試みがなされているが,全国でも共通しているリゾ-ト開発として行なわれているゴルフ場問題を津南町を事例に明らかにしたい。1987年にリゾ-ト法が制定されると,S鉄道は苗場山麓に90ホ-ル,300ha余の大ゴルフ場を計画した。町内には「リゾ-ト計画推進委員会」が結成され,町議会に開発捉進を陳情した。これに対し,地域住民のなかで内発的発展を主張する人々と,ゴルフ場の肥料・農薬による水の汚染を懸念し,名水「龍ヶ窪」の湧水を守れと立上った地域住民によって「ゴルフ場設置に反対する会」が組織され,対立した。平成2年7月の町長選は,主婦を中心とする自然保護派が,町民の多くの共感をえて当選し,ゴルフ場開発は凍結された。 森林組合の発展の歴史(町内で2億円産業)にみられる地域資源の地域住民による内発的発展の実績と主婦を中心とした草の根住民運動が,大資本のゴルフ場開発を阻止した。
|