1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02610148
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
錦織 勤 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (30112163)
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Keywords | 中世 / 大和国 / 土地売買 / 東大寺文書 / 売買頻度 |
Research Abstract |
本研究は、中世の大和国を対象として、一国全体の土地売買文書を収集し、それをもとに、田畠・家地の一筆一筆についてのデ-タ・ベ-スを作成することを最初の目的としていた。その上で、その一筆一筆について、所有権の移動状況を明らかにし、それをもとに中世の土地売買の特質を明らかにすることを目指していた。 東大寺文書は、中世の大和国関係文書の半数以上を占めている。そこで、最初の課題のために、今年度はまず東大寺文書中の大和国関係文書の収集から研究を開始した。東大寺文書には、今も東大寺図書館に所臓されているもののほかに、明治以来、寺外に流出し、様々な機関・個人の所蔵に帰しているものも多数あるが、奈良時代から戦国時代までの東大寺文書中の大和国関係文書についてはほぼ収集し終わった。さらに、東大寺文書以外の大和国関係文書についても、奈良時代から鎌倉時代までのものについては収集を終え、東大寺文書とともにデ-タ・ベ-ス化をほぼ完成させている(ワ-プロで入力し、MSーDOS上のテキスト・ファイルとして、BASICのプログラムで検索できるようにしてある)。 二番目の、土地所有権の移動状況については、まだ部分的に検討している段階であるが、これまでにわかったことは、移動状況が追跡できる土地については、そのほとんどがきわめて頻繁に売買されていることである。この点については、以前、高野山領の紀伊国官省符庄関係の土地買文書を検討し、平均10余年に1回売買されていることを明らかにしたが、その結果とほぼ一致している。今後は、残りの作業を完了し、その上で中世大和国における土地売買の頻度について数量化し、さらに、なぜこのような頻繁な売買がなされたのかという点について研究を進めたい。
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