1990 Fiscal Year Annual Research Report
古代ロ-マ時代のヴェスヴィウス火山周辺におけるヴィラvillaの総合的研究
Project/Area Number |
02610183
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浅香 正 同志社大学, 文学部, 教授 (70066059)
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Keywords | ヴィラ / ロ-マ農業 / フレスコ絵画 / モザイク |
Research Abstract |
ヴィラvillaについての記事はロ-マのラテン語文献にみることができるが,ヴィラそのものの定義は必ずしも容易ではない。古代ロ-マでは前3世紀末頃ヴィラといえば農村にある農地あるいは農業屋敷を意味したが,前2世紀の中頃マルクス・ポルキウス・カト-によって書かれた農事記(De agri cultura)では,ヴィラに関し農業に関する部分と,後程次第に明確になってくる所有者の居住に関する部分との区別がなされるようになってくる。しかし全体として調子としてはロ-マ古来の伝統である農民の素朴な生活が強調されている。しかしロ-マ共和政末期に現れたマルクス・テレンティウス・ウァロの農事記(De re vustica)では,ヴィラは単に農業生産としての作業場ではなく,田園における贅沢な生活を送る場所として部屋の構造が強調されるようになってくる。部屋の各壁面には彩色のフレスコ絵画が描かれ,床面な多彩なモザイクで覆われるようになった。このように文献記録からみてもヴィラの構造や機能に変化・発展が認められる。 他方考古学的発掘調査も活発に行なわれ,既にポンペイ近郊のボスコレア-レにおいてかなり多くのヴィラの発掘がなされたが,その発掘報告は必ずしも十分に整備された段階にはいたっていない。しかし1978年から開始されたヴィラ・レジ-ナVilla Reginaの発掘はヴィラのもつ農業の側面の解明に有益な資料を提供した。またポンペイ考古学総覧の管理下にあるスタビア地区では既に76の農業屋敷が発掘されている。さらにポンペイ市内の第1,2地区においても庭園に葡萄を栽培している家も発見されている。今後はヴィラの総目録を作成し,その場所,編年,構造と機能を調査し,ポンペイ周辺の農業経済活動を解明する計画である。
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Research Products
(1 results)