1991 Fiscal Year Annual Research Report
古代ロ-マ時代のヴェスヴィウス火山周辺におけるヴィラvillaの総会的研究
Project/Area Number |
02610183
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浅香 正 同志社大学, 文学部, 教授 (70066059)
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Keywords | ロ-マ大土地所有制 / ロ-マ農業 / 奴隷制 / ヴィラ |
Research Abstract |
平成3年度の前半は主として前年度までに行ってきた研究成果を総括し,英文で古代学研究所刊行のOpscula Pompeiana Iに発表することに多くの時間を費した。英文で発表された論文の内容は第一章においていわゆるロ-マにおける大土地所有latifundiumの形成過程を論証し,その主要な要因は2つあることを指摘した。すなわち1つはロ-マの裕富な貴族階層が,ロ-マのイタリア半島の征服過程において獲得された公有地を借用し,時間の経過と共に私有地と区別され難くなったこと。他のもう1つは戦争に従軍した農民や経済的に貪困化した農民の土地を兼併していったことである。 第二章では文献記録すなわちカト-,ヴァルロ及びコルメルラなどのロ-マ時代の農事記を中心にしてヴィラの構造や経営,労働組織を研究した。さらに第三章ではポンペイ近郊における若干のヴィラの重体を考古学的発堀資料にもとづき調査した結果,上記の文献記録の内容と考古学的資料によるヴィラの組織がほぼ一致することが確認されるにいたった。 他のもう一つの重要な研究課題はヴィラに関する総目録を作成することであったが,資料が膨大なため作業が必ずしも順調に進まなかった。今後継続してポンペイの考古遺物総監督局と連絡を保ちつつヴィラの総目録を完成する予定である。またヴィラの所有者の社会的地位やポンペイにおける政治活性についても今後研究してやく予定である。
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