1991 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀新ウイグル語・口語の再構ー『御製五体清文鑑』満州文字資料を用いてー
Project/Area Number |
02610230
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
庄垣内 正弘 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60025088)
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Keywords | 五体清文鑑 / 新ウイグル語 / 満州文字 / 口語形式 / 再構成 / 18世紀 / チュルク語 |
Research Abstract |
『御製五体清文鑑』に掲げられている回語(新ウイグル語)の満州文字表記された語彙形式、およびアラビア文字表記されたその文語形式、さらに対照漢語を、パ-ソナル・コンピュ-タを用いてデ-タベ-ス(ミクロコスモス)に入力する作業は前年度に一応終わっていたが、今年度はその欠落部分の補填と誤入の訂正とを行い、この作業を完了した。 前年度、清朝期の『清文啓蒙』『欽定満漢対音字式』『同文韻統』などを通して当時の満州語表記法を検討し、この回語・口語形式を写した満州文字表記システムを明らかにしたが、今年度はそのシステムを用いて再構した形式を、現在の新ウイグル語やほかのチユルク語、あるいは明朝時代に作成された『華夷訳語』(「畏兀児館訳語」)の語彙形式と比較することによって、この回語、すなわち明代新ウイグル語口語形式の再構成を行い、約85%の形式が決定された。今後、残りの15%の形式の決定を待って、『18世紀新ウイグル語・口語辞典』を完成出版したい。因みに羽田亨等によって編集され、一般に利用されている『満和辞典』は『御製五体清文鑑』の単語を用いて作成された辞典である。 なお、この回語・口語形式が現在の新ウイグル語北方地域の方言に継承されたことについては前年度かなり明確にしたが、その特徴の多くが現在では消失してしまったこと、また、同じ時代の文語形式との間に大きな乖離の生じていることもわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 庄垣内 正弘: "ウイグル文『阿毘達磨倶舎論実義疏』の性格について" 西南アジア研究. 34. 33-42 (1991)
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[Publications] Masahiro SHOGAITO: "Uighur Loan words in Mongolign Buddhist Texts." Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko. 49. (1992)
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[Publications] 庄垣内 正弘: "『古代ウイグル文・阿毘達磨倶舎論実義疏の研究』I" 京都・松香堂, 353 (1991)
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[Publications] 庄垣内 正弘: "『古代ウイグル文・阿毘達磨倶舎論実義疏の研究』II" 京都・松香堂, (1993)