Research Abstract |
英語国に長期間居住し,英語をかなりまたはほゞ完全に習得した者が,帰国後英語を使う機会が激減するために英語を喪失していく現象は,よく観察されるところである。その分析研究を数年にわたり小学生中,上級学年を中心に行ってきたが,今回の3年継続研究では、さらに年齢を下と上にひろげ,さらに現地での滞在期間との関係にも研究の巾を拡大することにした。第1年目につては,これらの対象者にアンケ-ト,あるいは面接による調査を行うことにした。その内容は,もし英語を喪失しつつあるという実感があれば,その旨こたえてもらうことにし、その折どのような特徴が自意識にあるか,英語を話すことはできるが,適切な表現がでてこなくなるという潜在的忘却期がいつどのような形で現われるか,さらに,実際に表現が口から出てこなくなる,つかえる,同じ表現を繰りかえしてしまう,さらに単純な表現が多くなってくるという時期がいつごろからおき,また続くか,そして,ことばを文構造としてあらわされなくなる,単語の羅列になってしまう時期,そしてほゞ完全に失ってします時期についての貭問を行っている。これらは,まだまとめる時期にはなっていないが,研究期間にまとめられるであろう。また,研究の対象者の若千名に対して,英語によるインタヴュ-を試み,実際の英語力をテ-プに記録した資料により分析を試みている。一般に年齢がひくい者ほど,急速に英語力が失われる。極端な場合では,帰国して一ケ月ほどで英語が口から出なくなる者もいる。また,逆に年齢が高く,長期間の滞在後帰国した場合,かなり長期間,英語を維持しつづける者が少くない。また文法構造,表現の複雑度についても分析をしなければならないが,目下その作業中である。英語の喪失のメカニズムが若千でも解明されればよいし、また習得との関係についても可能性を研究したい。
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