1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02620017
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山下 丈 広島大学, 法学部, 教授 (30033749)
|
Keywords | EC / EC市場統合 / 保険事業 / 保険監督 / 規制緩和 / 保険業法 / 金融事業 / 消費者保護 |
Research Abstract |
1989年段階までの旧西独を中心としたEC加盟国における保険事業の国家監督の規制緩和問題をめぐる従来の私の研究が出発点であったが,それはEC諸国の国内規制の緩和なしには1992年の市場統合が実現できないという立場によるものである。しかし1990年度のドイツは統一問題一色であり,法律関係資料も従来のものに付加できるものは少なかった。そこで方向を修正し,EC域外にありながら積極的な新加盟に向けての政治的な動きを示している北欧各国とくにノルウェ-とスウェ-デンの保険新立法動向に注目した。とりわけEC法の水準を意識したうえでの最新の契約法改正をいち早く実現したノルウェ-法の分折と紹介を行うことができた。これら各国はEC領域周辺に位置する国々で構成するEFTA諸国であり、その中からオ-ストリ-やスイスもEC加盟の方向にある。これまでスイスの動向も研究してきたが,むしろこうした国々のECとの交流を企図したうえでの立法動向こそ日本の参考となるものである。ノルウェ-法はEC法に合わせたうえで自らの市場を開放することによってEC側にもそれを求めるという手法で、きわめて注目に値いする。 新たにEC委員会は加盟各国に対して,保険事業のEC独禁法適用除外を容認し保険業界による各種の共同行為を認めることと引替えに,各国の国家監督の大幅な規制緩和をはかれないか打診中であり,議論を呼んでいる。1991年度はこれを研究の中心にしたい。 最近次々に公表される大蔵省の保険事業の規制緩和方針が,すべて私の1989年までの研究成果として公表済みの見解と軌を一にしていることは私にとりまことに喜ばしいかぎりである。
|