1990 Fiscal Year Annual Research Report
海外進出企業の労使紛争における日本の産別労働組織の役割
Project/Area Number |
02630027
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤村 博之 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (30173462)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 光男 同志社大学, 文学部, 教授 (40121587)
|
Keywords | 海外進出企業 / 産業別組合 / 労使紛争 |
Research Abstract |
1.欧米の経験に関する文献研究 企業の海外進出が盛んで,労働組合の影響力の強いアメリカとイギリスについて,文献研究をおこなった。その結果,以下の点が明らかになった。 (1)この分野の文献があまりないこと。ーアメリカは1960年代,イギリスは1950年代までさかのぼって文献検索をおこなったが,まとまった研究成果がほとんどみあたらなかった。その意味では,この分野の研究は,新しい領域を開拓するものだといえる。 (2)産別組織の役割は重要である。ー少ない文献のうち,とくにアメリカの研究が参考になった。そこでは,産別組織の重要性が強調されていた。 2.わが国の産業別組合に対するききとり調査 海外進出のすすんでいる電機労連と自動車総連を中心に,その他の産業別組合も調査した。 (1)労使紛争の解決に手をつけはじめた電機労連:電機産業の海外進出は比較的早かったので,すでにいくつかの労使紛争が発生している。最初は、個別企業の組合が対処していたが,最近では,産業別組合が調停役をつとめるようになっている。労使紛争の最大の原因は,親企業から出向してくる経営者にあることが明らかになった。すなわち,前任者が組合と取り決めたことを破棄してしまい,労使間に不信感が生まれることである。ただ,日本の産別組織は,この問題に有効に対処する手だてをまだ見い出していない。 (2)自動車産業など海外進出の歴史の浅いところでは,まだ大きな問題はおこっていない。
|