1991 Fiscal Year Annual Research Report
海外進出企業の労使紛争における日本の産別労働組織の役割
Project/Area Number |
02630027
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤村 博之 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (30173462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 光男 同志社大学, 文学部, 教授 (40121587)
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Keywords | 海外進出企業 / 労使関係 / 産業別労働組合 / 労働争議 |
Research Abstract |
1.労使紛争のいちばんの原因は、新任経営者が前例を尊重しないことである。 (1)労使紛争が発生した事例を見ると、日本本社から新しい経営者が赴任してきた直後が多い。新任者は、日本本社から進出企業を見ていたときの感覚のままで、現地採用の人々と接しようとする。日本本社の経営方式を進出企業にそのまま適用しようと、現地の人々に対して高圧的な態度で臨むことになる。そのために、現地従業員との間に紛争が発生する。 (2)これは、新任者が現地の状況を十分把握していないことが原因している。「当該企業の業績をあげるように」という本社からに指示を性急に実現しようとするために、その企業固有の状況を無視してしまうことになる。その結果、進出企業の労働組合と前任者との間で取り交わされた協定を破棄したり、無視したりする。 (3)企業経営は、従業員との信頼関係の上にこそ成り立つ。海外進出企業の場合も同様である。目先の業績にとらわれるあまり、前任者が築いてきた信頼関係を損なうようなことがあってはならない。 2.日本本社の労働組合の役割は、海外出向者の人選に発言することである。 (1)現地の状況を理解せず、ただむやみに業績を伸ばそうとするような管理者を進出企業に出向させることは、その企業にとってだけでなく、労働組合にとっても損失となる。そのような観点から、海外で現地の従業員に信頼されるような立派な人を送るように経営側に働きかけようとしている。
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Research Products
(1 results)