1991 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン労働者協同組合における経営参加とECの社会労働政策に及ぼす影響
Project/Area Number |
02630034
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 誠 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (70205962)
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Keywords | EC / 社会労働政策 / 社会的経済 / 欧州会社法 / 欧州協同組合法 / 欧州労働協議会 / 労働者協同組合 / 従業員参加 |
Research Abstract |
91年12月のEC首脳会議は、ロ-マ条約を改正することで合意し、これまでの全加盟国同意から踏みだした替成国のみによる欧州通貨の採用を決定した。またソ連・東欧圈の崩講後の欧州新秩序の形成を目指して、外交・防衛面でも統合にむけた動きが具体化しつつある。こうした政治、経済両面にわたる統合の進展のなかで、社会労働政策面においても統合への大きな前進がみられた。その中心をなすのは、欧州会社法にかかわる従業員参加の議論と、新たに提出された欧州労働協議会指令案である。 こうした中で91年、あらたに欧州協同組合法案がEC委員会によって提案された。直接的には、欧州会社の協同組合版に該当し、2カ国以上にわたって事業を営む欧州協同組合に法的地位を与えることを目的としたものだが、そこに規定された協同組合原則には、明らかに現行の国際協同組合原則と異なる理念がもりこまれている。例えば、投資組合員を認め、状況によって多重票権もありうるとしたことなどである。とりわけ、事業高配当とならんで労働高配当を認めたことは、ロ-チデ-ル以来、消費(購買販売)協同組合を中心に展開してきたこれまでの運働にたいして、一度は歴史的に否定された労働者協同組合が全欧州的に復権したという意義をもつ。 同時にその背景には、スペイン、イタリアなど南欧を中心に近年、発展した労働者協同組合が、これまでの国家領域を超える欧州統合と裏合わせになった地域振興、雇用開発の有効な手段として公認された事実があり、それはまた、EC統合の重要な理念となりつつある社会的経済の一環として協同組合運動に新たな光が投げ掛けられていることを示している。
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Research Products
(1 results)