1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02630048
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊藤 隆敏 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (30203144)
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Keywords | タ-ゲット・ゾ-ン / 円・ドルレ-ト / 政策協調 / G5 / 合理的期待 / 財政政策 / 金融政策 / 介入 |
Research Abstract |
今年度の研究では、為替レ-トの目標相場圏に設けることにより、為替レ-トの市場参加者の期待が,どのように変化するかについての研究と,国際経済政策協調の1980年代の経験の批判的展望,及び次年度の計量分析のためのデ-タの収集をおこなった。目標相場圏の導入は、それが,民間が信じる形で政策がおこなわれる限り、為替レ-トの変動性(ボラティリティ-)を減少させる。これは,変動上下限において介入がおこなわれて,それ以上の変動を防ぐことは当然として,それ以上に,民間の期待を変更させることにより,目標相場圏での変動性も減少させることが出来ることがわかってきた。 1980年代の国際経済協調では,1980年代前半は、日米欧の経済政策は全く協力がされておらず,為替レ-トの不整合を招いたと考えられる。米の財政拡張と金融収縮,日本の財政再建が1980年代前半のドル高を招いたと考えられる。1985年9月のプラザ合意を契機として,日米欧の経済政策が為替レ-ト目標を中心に協調されることとなった。ところが,当初の為替レ-ト調整(ドル高是正)が達成されたあとも,目標相場圏が継続したため,(円高を阻止するために)日本の金利が低く抑えられたという批判が成り立つ。これを論理的に整理したのが,“U.S.ーJapan Policy Coordination:Agenda for the 1990s and beyond"という論文である。 次年度の研究段階は、上記のような目標相場圏に関する良い点と悪い点のトレ-ドオフについて、より計量的な検証をすべく,現在までに,為替レ-ト,金利,経常収支などの主要マクロ変数とともに,介入など一般に公開されていない(日本の場合)変数についても代理変数を探して収集した。
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Research Products
(1 results)