1990 Fiscal Year Annual Research Report
可視領域半導体レ-ザ-を用いた素粒子実験用検出器のモニタ-システムの開発
Project/Area Number |
02640218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸田 隆 東京大学, 理学部, 助手 (20204852)
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Keywords | タイミング・モニタ- / ゲイン・モニタ- / 可視領域半導体レ-ザ- / 光電子増倍管 |
Research Abstract |
研究は既存のタイミング及び光量のモニタ-システムに比べ半導体レ-ザ-を用いたシステムが劣っている可能性がある点のチェックを中心に行なわれた。まず赤色半導体レ-ザ-は赤外半導体レ-ザ-に比べ出力が小さく、短波長領域に感度を持つ光電子増倍管が十分な出力を出せるかどうか調べたが、全く問題なく光量は十分であることがわかった。過電圧によるレ-ザ-の破壊についても、パルス状電圧に関しては意外に強いことがわかった。また、半導体素子であるため温度依存性がきわめて大きいと予想されたが、温度の電圧ー電流特性と電流ー光量特性への効果が相殺してあまり大きくならないことがわかった。しかもこの光量の変化もモニタ-端子の出力が温度に依存しないため監視できる。タイミングの精度は特にシステムに工夫をほどこさなくとも1ショット当たり100psの精度は容易に実現できた。タイミング分布が安定しているため平均値をモニタ-に使えばきわめて高精度のタイミングモニタ-システムとして使用できる。長いシンチレ-ションカウンタ-の両側の光電子増倍管をひとつのレ-ザ-素子で同時にモニタ-することができた。これは半導体レ-ザ-が元来持っている光束の拡がりを利用したものである。光学系や光ファイバ-のいらない簡単さと赤色光がシンチレ-タ-の中で減衰しにくいことを考えると、大きな検出器システムで半導体レ-ザ-を使ったモニタ-システムの有利さが現われると考えられる。(しかも、安価なシステムとなり得る。) 実用化のための課題のひとつは長期的な安定性を確認することである。これは既存のモニタ-システムと長期にわたって併用して確認する予定である。また新しい半導体レ-ザ-が開発されればより良いモニタ-システムを作ることも可能なので、将来にわたって努力を続けていこうと考えている。
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