1991 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系のドハ-ス・ファンアルフェン効果によるフェルミ面の研究
Project/Area Number |
02640251
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大貫 惇睦 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (40118659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 筑波大学, 物質工学系, 助手 (60225927)
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Keywords | ドハ-ス・ファンアルフェン効果 / 重い電子系 / サイクロトロン質量 / 散乱の緩和時間 / CeIn_3 / NdIn_3 / SmIn_3 / GdIn_3 |
Research Abstract |
本年度は特にRIn_3(R:希土類元素)のドハ-ス・ファンアルフェン効果を発展させることに主力をおいた。前年度にLaIn_3,CeIn_3,PrIn_3をほぼ終了させていたので,継続してCeIn_3を,あらたにNdIn_3,SmIn_3,GdIn_3を行った。 CeIn_3では重い電子系の基本問題の一つである質量と緩和時間の関係に関して極めて重要な知見を得た。すなわち,極値断面積の等しい2つの軌道をとりあげた。これらはサイクロトロン質量が約5倍異なる。そこで,質量が重くなるとキャリアのフェルミ速度は遅くなり,従って不純物間の平均距離はおおよそ平均自由行程であることから,キャリアの散乱緩和時間は大きくなると予想されるが,それは正しいものかを調べた。ドハ-ス振動の振巾の磁場依存性から緩和時間を求めたところ,質量が5倍重くなると確かに5倍緩和時間は大きくなることが明らかとなった。本研究で重い電子系の基本問題を明らかにしたと言える。 次に反強磁性体のNdIn_3でも,友強磁性状態になったとき常磁性のフェルミ面がどのように変わるかを明らかにした。常磁性状態で存在する比較的大きな球状フェルミ面をとりあげた。そのフェルミ面に由来するドハ-ス振動は反強磁性状態でも検出できた。ただし,ある角度領域では見えないが,極めて信号が小さくなる。そのデ-タと反強磁性状態での磁気ブリルアンゾ-ンを考えて解析したところ,球状フェルミ面の一部がネックを持つような多重連続構造のフェルミ面であることを明らかにした。本研究で反強磁性状態でのフェルミ面構築に関して重要な指導原理を与えたことになる。 SmIn_3とGdIn_3でもドハ-ス信号が検出され,NdIn_3と同様な解析を推進した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Ebihara et al.: "Cyclotron Mass and Scuttening Lifetime in Heavy Electron System" J.Phys.Soc.Jpn.
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[Publications] T.Ebihara et al.: "de Haasーvan Alphen Effect in the Antiferromagnethic Compound SmIn_3" J.Phys.Soc.Jpn.
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[Publications] I.Umehara et al.: "de Haasーvan Alphen Effect in the Antiferromagnethic Compound GdIn_3" J.Phys.Soc.Jpn.61. 19-22 (1992)
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[Publications] Y.Onuki et al.: "Magnetoresistance and de Haasーvan Alphen Effect in CeRu_2Si_2 and LaRu_2Si_2" J.Phys.Soc.Jpn.61. 960-968 (1992)
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[Publications] 大貫 惇睦,長谷川 彰: "重い電子系のフェルミ面" 日本物理学会誌. 46. 571-577 (1991)
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[Publications] 長谷川 彰,大貫 惇睦: "ウラン化合物の電子状態とフェルミ面" 固体物理. 26. 867-876 (1991)
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[Publications] Y.Onuki et al.: "Mat.Sci & Techn.vol.3A chap.7 Ferm;Surfaces in Strongly Correlated Electron Systems" VCH Verlagsgesellsuhaft, 81 (1991)