1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640264
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
佐々木 芳朗 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (90101154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 忠児 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (10005168)
前田 敏輝 石巻専修大学, 理工学部, 助手 (80202307)
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Keywords | 電極反応 / ラマン散乱 / 表面 / 白金電極 / 吸着 |
Research Abstract |
各種金属表面に吸着した原子あるいは分子の吸着状態の解明は、表面における種々の化学反応の研究の基本となる。本研究の目的は、電解液中の貴金属表面反応の素過程をラマン分光の実験によって解明することである。初年度に構築した超高感度ラマン分光システムを用い、硫酸水溶液中のPt電極表面吸着種の"その場観察"ラマン分光の測定を行った。Pt電極の場合にはSERS効果が無いので、電解液、窓材のラマン散乱によるバックグラウンドの強度が吸着種によるラマン強度に比べて著しく大きくなる。各種の窓材の中から、ラマン強度の低いサファイアを用いた。バックグラウンドを除くためには、電極表面の吸着種が最小と思われる電位(0.15VAg/AgCl)と各電位の差のスペクトルを1スペクトル当り2時間(1000サイクル)積算した。スペクトルは電極電位を繰り返し走査すると同時に測定した。酸素吸着域でPt電極の可視領域の反射率が減少する結果、バックヴラウンドと似た差スペクトルがえられた。このスペクトルに反射率変化の補正を施した結果、酸素吸着領域で、(1)SO_4^<2->、HSO_4^-によるラマン線の強度の増加、(2)500cm^<-1>付近にブロ-ドなラマン線の出現、が観測された。これらのラマン線の強度は最大1カウント/秒で、単分子吸着種によるラマン強度の予測と矛盾しない。(1)は電極表面吸着種または拡散層領域の負イオ ン(SO_4^<2->、HOS_4^-)濃度の増加、(2)は真空中のPt(111)面上の吸着酸素原子による振動数(480cm^<-1>)と一致することから、電極表面の吸着酸素原子のよる考えられる。特に、(2)の結果は赤外分光では測定不可能な周波数領域にあり、本研究で初めて測定された。(1)の結果は、既に赤外分光によって得られている結果と矛盾しない。今後、我々の測定法により、多くの電極系について詳細な吸着状態の電位依存性が明らかになると期待される。
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Research Products
(1 results)