1991 Fiscal Year Annual Research Report
ブリルアン散乱によるゲルにおける構造不安定性の研究
Project/Area Number |
02640274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石橋 善弘 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古沢 伸一 名古屋大学, 工学部, 助手 (60219110)
折原 宏 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30177307)
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Keywords | ゲル / 構造不安定性 / ブリルアン散乱 / 膨潤 / ファブリ-・ペロ-干渉計 |
Research Abstract |
高分子ゲルの膨潤に伴う臨界現象については様々な立場から研究が行われている。本研究では、ゲルの膨潤の最大の要因と思われる弾性的不安定性をブリルアン散乱により研究することを目的としている。通常、ゲルのブリルアン散乱は波数シフト±0.5cm^<-1>以内の低波数領域に現れるため、測定装置には高分解能が要求される。そこで本研究では、高分解能、高コントラストを有し時間的安定性に優れた圧力走査型のファブリ-ペロ-干渉計を製作することにした。本研究で製作したブリルアン散乱測定装置は、1対のエタロン板を使用したシングルパス方式である。また2対のエタロン板をタンデム装備することにより、実効的フィネス及びコントラストを数桁向上させることの出来るタンデム型ファブリ-ペロ-干渉計として使用出来るように設計、製作した。 試料となるゲルは、脱酸素した水20mlに対し、アクリルアミド(1g)、NN'メチレンビウアクリルアミド(26.6mg)の溶液にアクリル酸ソ-ダ(アクリル酸144.2mg+炭酸ナトリウム106mg)を加え、過硫酸アンモニウム40mgを約0.5mlの水に溶かした水溶液を添加することで作成した。この様にして作成したゲルは、水に浸すことにより1000倍近い膨潤を示した。 本装置を使用してゲルのブリルアン散乱の測定を行った結果、水分を蒸発させた"乾燥ゲル"で0.56cm^<-1>、作成直後の"膨潤ゲル"で0.19cm^<-1>にそれぞれブリルアン・ピ-クを観測し、膨潤状態と乾燥状態で約0.37cm^<-1>のシフト量の変化を観測し、吸水による膨潤により弾性率が小さくなっていることが判った。しかしながら、それ以上の膨潤過程については、ブリルアンピ-クがレイリ-散乱近傍にあり、しかもゲルのブリルアン散乱の強度がレイリ-散乱及び準弾性成分の比較して極めて弱いため、ブリルアン散乱は観測出成なかった。
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Research Products
(1 results)