1991 Fiscal Year Annual Research Report
異常な磁性を示すアモルファス遷移金属系に於ける磁気相転移の理論的研究
Project/Area Number |
02640283
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
梯 祥郎 北海道工業大学, 教養部, 助教授 (10191975)
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Keywords | アモルファス / 遷移金属合金 / スピングラス / 遍歴磁性 / 構造不規則性 / キュリ-温度 |
Research Abstract |
1.最も興味あるアモルファス鉄付近のスピングラス領域での隣接スピン対相関をd電子数を変えて計算し、相関のないスピングラスの他に、強磁性クラスタ-を伴なうクラスタ-スピングラスの領域が存在することを見出した。 2.構造不規則がひき起こす異常な磁性を帯磁率と圧力効果の面から明らかにするために、環境効果の有限温度磁性理論を用いてこれらの系統的な変化を調べた。その結果、(1)有限温度に於いても構造不規則性による電子状態密度のメインピ-クの変化が帯磁率やキュリ-温度の圧力変化の系統的な変化を作り出していることを突きとめた。特に、(2)異常な磁性を示すリエントラントスピングラス領域で、磁場・圧力効果の実験と詳細な比較を行ない、我々が昨年度提出したアモルファス鉄のスピングラス生成のメカニズムを裏付けると共に、リエントラントスピングラス転移に伴なう巨大磁気体積効果が遍歴電子スピングラスに特有の現象であることを理論的に見出した。 3.アモルファス合金への拡張を行なうために、電子状態の数値計算を極端に簡単化する幾何平均モデルの方法を提出した。そして、(1)第1原理に基づく計算結果と比較することにより、この方法がアモルファス合金の電子状態密度を良く再現することを確めた。次に、(2)この方法を用いてアモルファス3dー4d,3dー5d遷移金属系の合金系の状態密度の計算を行ない、原子サイズ効果による平均原子配位数の差がこれらの合金系の強磁性発現に決定的役割をもっていることを発見した。
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