1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640292
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 行男 神戸大学, 教養部, 助教授 (40025482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛯名 邦禎 神戸大学, 教養部, 講師 (50151999)
鏑木 誠 神戸大学, 教養部, 教授 (40093504)
國友 正和 神戸大学, 教養部, 教授 (40031348)
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Keywords | 分光学 / 緩和過程 / 雑音場 / レ-ザ-分光 / 磁気共鳴 / 位相緩和 |
Research Abstract |
コヒ-レントな電磁波と物質の相互作用を研究するレ-ザ-分光学・磁気共鳴分光学において、緩和過程(緩和現象)は重要な研究の対象でるが、その解釈・記述には2つの異なる立場があって、両者を統一的に理解する考え方は未完成である。このため、実験的に観測される多様な現象の記述においてしばしば混乱が見られる現状である。 一方の立場は、物質系とこれに擾乱を与える環境系を考え、緩和現象を確率過程として統計物理学的にとらえ、他方は、全系の運動を量子力学的に厳密に解いて議論する立場である。後者は厳密な取いであるが、複雑な系への適用性に欠け、前者は近似的ではあるが実用的である。本研究は前者の立場から、現象とその理論的な取扱いの対応関係を明確にする方向で、前述の混乱の整理を意図するものである。 本年度は、研究実施計画に従い、以下の実験的・理論的研究を行った。1.計算機による各種雑音の発生,2.雑音ダイオ-ドとフィルタ-の組合による各種雑音の発生、3.12で発生した雑音の計算機による解析プログラムの作製とテスト、4.NMRの試料に雑音場を付加する回路の作製.5.雑音磁場を静磁場に重畳したNMR過渡現象の観測と信号の緩和の測定、6.緩和の統計理論、実験事実について.過去の重要な報告例.論文の総合的な整理。これ等の中には未だ不十分な項目もあるがほぼ計画の通りの進行状況といえる。 以上の通り、研究の準備段階がほぼ順調に終りつつあり.次年度は、系統的な実験測定と理論的な取扱いを行い、所期の目標に沿った成果を得ることができる見通しである。
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