1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640294
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Research Institution | Interdisciplinary Graduate School of Engineering Science, Kyushu University |
Principal Investigator |
本地 弘之 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (80038538)
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Keywords | 二重拡散 / 熱塩対流 / 成層流体 / ソルトフィンガ- / 散逸構造 |
Research Abstract |
今年度は小型水槽を用いて熱塩二重拡散によって誘起される乱れの前段階としての流体散逸構造について実験的研究を行った。 主として用いた水槽は40×30×5cmのもので,初期の流体成層の設定は以下の要領で行った。即ち,まず所定の温度の冷水を下層に入れ,その水面に多孔質の薄板を浮かべ,その上から所定の高温塩水をできるだけ静かに散布して徐々に板を浮上させ,最終的にゆるやかな転移層をもつ二層流体を作った。熱拡散が進行するにつれて上層の水温は下降,下層の水温は上昇し,やがて一定水温に近づき,その中でソルトフィンガ-型の対流構造が形成される。今回は特に水槽内壁面付近に整然と形成されるソフトフィンガ-の形態についてアルミ粉末を用いた流れの可視化の手法で詳細な観測を行った。その結果,界面付近に形成されるフィンガ-層の上では激しい乱流対流が形成されるものに対して,下層では流体は比較的静穏に留まることが分った。又,個々のフィンガ-は上層に近い程細かく,下層に近い程太い形をとる傾向が見出された。壁面近くのフィンガ-は極めて微量の密度差でも形成されるが,形成初期に長波長の規則正しい初期フィンガ-が通常の定常フィンガ-に先立って形成されることが分った。 ソルトフィンガ-の間隔(横並びの波長)の安定密度差比Rに対する依存性を調べた結果,1<R<50で波長が大体一定となるが,20<Rでこれとは別に波長がRとともに増加するようなモ-ドがあることが分った。この他,Rが大きいとき,フィンガ-の上下で波長が異なるものが形成されうることも分った。又,フィンガ-型及び熱駆動対流型の流れについて熱電対を用いて水温変動の計測を行なった。スペクトル解析の結果,通常型熱対流の方が種々の変動成分が卓越することが分った。更に,熱とアルコ-ルの拡散糸でもフィンガ-が形成されることを発見した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroyuki HONJI: "NearーWall DoubleーDiffusive Convection" Engineering Sciences Reports,Kyushu University. 13ー4. (1992)
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[Publications] 本地 弘之: "高密度比領域の二重拡散対流" 日本物理学会第47回年会講演予稿集. (1992)