1992 Fiscal Year Annual Research Report
異方性球共振法(RST)の開発とその地球物質の弾性・非弾性の測定への応用
Project/Area Number |
02640307
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 功 岡山大学, 理学部, 教授 (60033198)
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Keywords | 球共振法 / 共振法 / RST / 弾性 / 非弾性 / 地球物質 |
Research Abstract |
3年間にわたる継続研究の最終年度において、以下の研究成果を得た。 固体物質の内部摩擦Q_<ij>^<-1>は振動エネルギーの減衰に関連する量であり、地球の地震学モデルとの関連で重要である。オリヴィン、ペリクレースについて共振ピークの半値幅2f^*の測定よりQ_<ij>^<-1>を求めた。また単結晶と多結晶のペリクレース試料について半値幅の温度変化を1100Kまで追跡した。その結果、カンラン石単結晶のQ_<ij>^<-1>は各弾性率タイプ毎に線形関係logQ_<ij>^<-1>=c+dv^2が成り立つことを見出した。ここにc、dは定数、v^2はC_<ij>/ρである。またペリクレース試料の半値幅の温度依存性については、1100Kまでの温度範囲内で大きな温度依存性は示さないが、異方体・等方体のおのおのの振動モードの特徴を示している。 高圧下での共振振動数の測定は多くの技術的因難をもつが、愛媛大学でガス圧を用いた共振の測定を約100MPa(1kbar)までの圧力下で行ない、剛性率の圧力係数を得ることに成功した。体積弾性率を得るための測定を継続中である。 この研究で得た1ogQ_<ij>^<-1>とv^2との関係は状況が大きく異なる地球内部についも成り立っており幅広い適用性を持つ関係であり、地球の地震学モデルを岩石モデルから検討する際に利用できる。弾性率と密度に関する線形関係C_<ij>=a+bρも同様に利用できる。ここに、a、bは定数である。 共振スペクトルを得るために、時間領域での振動波形をデータとしてその振動数解析よりスペクトルを得る方法すなわちFT(Fourier transform)法の開発をこの研究の延長線上で始め、実用化の見通しを得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鈴木 功,井上 靖,平尾 淳一, 小田 仁,斉藤 俊明,瀬谷 清: "球共振法による鉱物の弾性率と非弾性率の測定 -カンラン石の場合-" 地震II. 45. 213-228 (1992)
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[Publications] I.Suzuki,H.Oda,S.Isoda T.Saito,and K.Seya: "Free Oscilletion of an elastically anisotropic sphere and its application to determinig the elastic constants of rutile." J. Phys. Earth. 40. 601-616 (1992)