1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640312
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白澤 邦男 北海道大学, 低温科学研究所・附属流氷研究施設, 助手 (50196622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青田 昌秋 北海道大学, 低温科学研究所・附属流氷研究施設, 教授 (40001664)
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Keywords | 海洋ー海氷境界面 / 乱流境界層 / 運動量フラックス / 熱フラックス / 塩フラックス / 海氷成長過程 / 季節海氷域 |
Research Abstract |
1.研究の目的:本研究は、典型的な季節海氷域であるハドソン湾、アラスカや北海道オホ-ツク海沿岸において、結氷、成長、融解と海氷の成長に伴う海洋ー海氷境界面における乱流輸送量の過程を明らかにすることを目的としており、この成果は局所的または全球的規模の気候変動の研究に多大な貢献をするものである。 2.研究計画及び成果: (1)1990年5月のカナダのハドソン湾の融解期の沿岸定着氷下海洋乱流境界層の現場実験観測から得られたデ-タ解析の結果から、境界層は層流から乱流場への遷移領域あるいは乱流場であり、その移行過程に運動量輸送が大きいことが明らかにされた。 (2)海氷の成長過程に伴う運動量、熱フラックスの変動の過程を明らかにするために、1991年5月にアラスカのエルソン・ラグ-ンの海氷に人工的に開水面を作り、新生氷を生成させ、海氷を通しての運動量、熱フラックスの観測を行った。開水面に海氷が生成されると、海氷表面からの熱輸送は抑制されるが、氷厚増加にともない熱フラックス係数は徐々に増加する傾向がみられた。 (3)海氷の成長過程の異なる条件での観測結果との比較研究を行う目的で、(1)や(2)と同様の観測を、季節海氷域の南限である北海道オホ-ツク海沿岸の汽水期であるサロマ湖の海氷で、1992年2月から3月にかけて行った。海氷に約3m四方の開水面を作り、新生氷を生成させ、海氷を通しての運動量、熱フラックスの観測を、同時に海氷下乱流境界層の運動量、熱および塩フラックスの観測を行った。海氷下の流速は極めて弱く、流速場は層流の領域であったと思われるが、現在デ-タの解析中であり、今後も研究計画を継続してゆく予定である。
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[Publications] SHIRASAWA,K.: "Characteristics of the Turbulent Oceanic Boundary Layer under Sea Ice.Part 1: A review of the IceーOcean Boundary Layer." Journal of Marine Systems. 2. 153-160 (1991)
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[Publications] SHIRASAWA,K.: "Characteristics of the Turbulent Oceanic Boundary Layer under Sea Ice.Part 2: Measurements in Southeast Hudson Bay." Journal of Marine Systems. 2. 161-169 (1991)
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[Publications] 白澤 邦男: "アラスカ、エルソン・ラグ-ンにおける開水面、海氷及び雪面上の運動量および熱フラックスの観測" 低温科学,物理篇. 50. (1991)