INーSITU質量分析法による電極表面吸着層の微細構造解析

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02640329
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 嶋津 克明 北海道大学, 理学部, 助教授 (30109417)
• Keywords: inーsitu質量分析法 / 水晶振動子微量天秤法 / 電極反応

Research Abstract

本研究は、電気化学系におけるinーsitu質量分析法の開発と、それを用いて電極表面で起きる吸着など諸現象の微細構造解析を行うことから構成されている。本年度は主に水晶振動子微量天秤法について検討を行った。
1.測定法開発
電気化学系で安定な水晶振動子の構築はきわめて困難であったが、振動子の保持の仕方を変えた数種の電解セルの考案と試験、発振回路の最適化、ノイズ対策としての第1種ア-スの設置とファラデ-ケ-ジの使用により電解条件下で2Hzの感度をもつ電気化学水晶振動子微量天秤を製作することが出来た。さらに、水晶子への金の蒸着条件と表面の平滑性の関係をSTMで検討するとともに、下地に汚染源となるクロムを使わず有機単分子層を用いる新しい方法を検討した。また、電流、電位、周波数(今年度補助金により購入の高分解能周波数カウンタ-からの出力)を同時にパ-ソナルコンピュ-タ-に取り込めるデ-タ解析システムを製作した。
2.電極反応の微細構造解析
白金の電析、ピロ-ルの重合反応の結果から理論値通りの周波数応答を示すことがわかった。ポリピロ-ルの酸化還元に伴う周波数応答(質量変化)から、酸化にともない過塩素酸塩中では低電位でカチオン脱ド-プが高電位でアニオンド-プが主な過程であること、AMPやATP中では低電位でカチオン脱ド-プが主過程で高電位では質量変化がみられなかった。また、単位電気量あたりの質量変化よりこれらのド-ピング過程は、従来報告されていたより複雑であることがわかり、この点を明かにするため、紫外可視吸収分光法との組合せを検討している。修飾電極を固定相に用いたAMPとATPの分離の機構、有機単分子層の吸着過程なども本手法を用いて調べている。

Research Products

• [Publications] R.S.Deinhammer: "Ion Chromatographic Separations using Step and Linear Voltage Waveforme at a ChargeーControllable Polymeric Stationary Phase" Anal.Chem.submitted.
• [Publications] 嶋津 克明: "電気化学系におけるその場測定法としての紫外可視吸収分光法" 電気化学.