1992 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス状態分子性薄膜における配向緩和とラマンスペクトル
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02640355
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| Research Institution | Gakushuin University |
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Principal Investigator |
石井 菊次郎 学習院大学, 理学部, 教授 (30013543)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲山 英之 学習院大学, 理学部, 助手 (00155889)
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| Keywords | アモルファス / ガラス / 構造緩和 / ラマン・スペクトル / 赤外吸収スペクトル |
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| Research Abstract |
低温の金属基板上に真空蒸着して作成した有機分子性アモルファス薄膜の構造とその緩和過程を、主にラマン分光法により研究した。また、赤外吸収法を補助的に用いた。研究対象として、直鎖状炭化水素・ポリフェニル・縮合芳香属炭化水素の3種の物質群を選んだ。以下に、研究結果の要点を記す。
1.アモルファスn-C_<24>H_<50>における構造緩和
低温基板に蒸着した上記の物質の薄膜は、スペクトルの解析から、gauche型の配置を多く含む分子から成るアモルファス状態にあることが分かった。この薄膜の温度を段階的に上昇させると、まずgauche型配置が減少しtrans型配置が増加した。さらに温度を上昇させると、all-trans型分子が出現した。260〜280Kの温度領域で分子末端のパッキングの再編成が起こり、安定な結晶の結晶の構造への最終的な変化が起こることが分かった。
2.アモルファスビフェニルにおける構造緩和
ビフェニル分子はフェニル基間に捩れの自由度をもち、分子自身のエネルギーと分子のパッキングのエネルギーとのバランスで、捩れ角の違いを示すことが知られている。アモルファスビフェニルは捩れた構造の分子を含み、これは140K近傍の比較的狭い温度領域で、平面形の分子を含む室温結晶の構造に変化することが分かった。また、上記の温度より低い温度に長時間保つと、これまでに知られている結晶とは異なる構造をもつと考えられる未知の結晶相に変化することが分かった。
3.アモルファスアントラセンおよびアモルファスナフタレンにおける構造緩和
縮合芳香属炭化水素の分子は基本的に剛体とみなせるので、これらの物質のアモルファス状態は極低温のみで存在し、温度を上昇させると速やかに結晶化すると、当初考えた。しかしアモルファスアントラセン薄膜では、200K以上の温度まで乱れた状態が保持され、局所的に形成された二量体構造は室温近くまで試料内に残る。また、アモルファスナフタレン薄膜も100K以上の温度までアモルファス状態を保ち、120K近傍で構造変化を始めて結晶の構造に近づくという実験結果を得た。したがって、この種の化合物でも、アモルファス状態は多様な構造緩和過程を示すことが分かった。
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[Publications] C.Ecolivet: "About the ferroelastic phase transition in phenothiazine" Ferroelectrics. 125. 23-28 (1992)
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[Publications] H.Nakayama: "Raman studies of annealing processes in glassy films of p-terphenyl" Mol.Cryst.Liq.Cryst.218. 183-188 (1992)
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[Publications] K.Ishii: "Raman and birefringence studies on the incommensurate phase transition of bis(4-chlorophenyl)sulfone crystal" J.Phys.Soc.Jpn.61. 2317-2326 (1992)
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[Publications] K.Ishii: "Structural relaxation in amorphous biphenyl: Raman spectroscopic studies" Chem.Phys.Lett.198. 236-240 (1992)
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[Publications] K.Ishii: "Strucutural relaxation in amorphous molecular systems:Raman spectroscopic studies" J.Phys.,D,.
