1991 Fiscal Year Annual Research Report
希ガス正イオンとハロゲン負イオンとの中和再結合反応によるエキシマ-の生成
Project/Area Number |
02640371
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 正治 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (30038608)
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Keywords | 希ガスイオン / ハロゲンイオン / 中和反応 / エキシマ-レ-ザ- / 発光スペクトル |
Research Abstract |
本助成研究において、三体イオン再結合反応によるRgCl^*(Rg=Kr,Xe)エキシマ-の生成過程をRg^+のスピン一軌道状態を選別して測定すると、 ^2P_<3/2>状態の反応ではエキシマ-のB,C状態が、 ^2P_<1/2>状態の反応では、D状態が高選択的に生成することが発見された。 Rg^+( ^2P_<1/2>)+Cl^ー+He→KrCl(D)+He (1a) Rg^+( ^2P_<3/2>)+Cl^ー+He→KrCl(B,C)+He (1b) ただし、DーX/BーX発光強度比は、二体Rg^+( ^2P_<1/2,3/2>)/SF_6^ー(Rg=Kr,Xe)反応の場合と比較して著しく弱く、その傾向はXeCl^*では特に顕著であった。そこで両スピンー軌道状態の生成する各エキシマ-の相対生成速度を、Rg^+( ^2P_<3/2>)/SF_6^ー、Rg^+( ^2P_<1/2>)/SF_6^ー二体再結合反応によるRgF(BーX)とRgF(DーX)の生成速度が等しいことに着目して決定した。その結果、k_<1a>/k_<1b>比としてRg=Krで0.14、Rg=Xeで0.033と決定された。この様に ^2P_<1/2>状態の反応によるエキシマ-の生成速度が、 ^2P_<3/2>状態の反応の場合よりも小さいのは、[Rg^+( ^2P_<3/2>)Cl^ー]イオン対中間体と比較してエネルギ-の高い[Rg^+( ^2P_</2>)Cl^ー]イオン対中間体が、速い前期解離を起こすことに起因する可能性が強い。このことを実証するために、前期解離生成物(Rg^*,Cl^*)の発光を真空紫外領域や近赤外領域で測定し、Rg^*,Cl^*のRgCl^*に対する生成分岐比を決定した。実際にKr^+( ^2P_<1/2>)反応によるエキシマ-の生成速度がKr^+( ^2P_<3/2>)反応の場合よりも小さいのは、断熱ポテンシャルから予想される通りCl(4s)+Krへの速い前期解離によることを確認した。 本研究により、今後の高出力エキシマ-レ-ザ-開発に不可欠な基礎デ-タが得られたばかりでなく、化学反応中間体として重要な正負イオン中間体の反応性が初めて明かにされた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 辻 正治: "SpinーOrbit State Selective Formation of Rare Gas Chlorides from IonicーRecombination Reactions of Rg^+( ^2P_<1/2,3/2>)+Cl^ー+He at Thermal Energy" Journal of Chemical Physics. 94. 4291-4300 (1991)
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[Publications] 辻 正治: "Comparison of the Rg^+( ^2P_<1/2>)/Cl^ー/He and Rg^+( ^2P_<3/2>)/Cl^ー/He ThreeーBody IonicーRecombination Reactions for the Formation of RgCl^*,Rg^*,and Cl^*" Journal of Chemical Physics.