1991 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価有機ケイ素,ゲルマニウム,スズ化合物の合成,構造と機能
Project/Area Number |
02640375
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 理学部, 助教授 (40004452)
|
Keywords | シリレン / スタンニレン / X線結晶解析 / シリセニウムイオン |
Research Abstract |
本研究課題では、一般に短寿命種である低原子価典型金属化合物、特に、ケイ素、ゲルマニウム、およびスズの低原子価合物を、安定に単離し得るものとして合成し、その期待される特異な物性と明らかにし、さらに機能性物質創生へと展開することを目的とした。昨年度、1、1、4、4ーテトラキス(トリメチルシリル)ブタンー1、4ージイルジリチウムとジクロロスズの反応によって、嵩高い置換基によって保護された単量体環状ジアルキルスタンニレン(1)の単離にはじめて成功し、その結晶のX線構造解析を行った。これにより、2価ジアルキルスズ化合物の固有の物性と反応性を研究することが可能となった。本年度は、スタンニレン1と同じ環構造を有する4価スズ化合物、1、1ージクロロー2、2、5、5ーテトラキス(トリメチルシリル)スタンナシクロペンタン(2)を新たに合成単離し、その結晶構造解析を行った。1と2の分子構造を比較することによって、スタンニレン1の環内炭素ー炭素結合距離の異常性等の構造上の特徴が明確になった。また、1の2、3の反応を見いだした。特に、1が低温テトラヒドロフラン中で可逆的な錯形成をすることをその紫外吸収スペクトルの温度変化によって明かにした。従来、2価14族金属化合物のエ-テル類との錯体形成は、低温マトリクス中においてのみ知られており、溶液中での挙動の解明は本研究がはじめてである。1と同様の置換基を有するケイ素およびゲルマニウム化合物の合成について、その前駆体であるジハロゲン化合物の合成まで進行したが、それらの2価化合物への還元にはまだ成功していない。また、ケイ素3価陽イオンであるシリセニウムイオンを、求核性の小さいテトラアリ-ルボラ-トイオンを対アニオンとして合成単離する試みを継続した。単離には至らなかったものの、シリセニウムイオンの溶液中の挙動に関して新して知見が得られた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Kira: "Stereochemistry and mechanism for the addition of alcohols to a cyclic siiene" J.Am.Chem.Soc.113. 3986-3987 (1991)
-
[Publications] M.Kira: "Synthesis and xーray structure of the first dicoordinate dialkylstannylene that is monomeric in the solid state" J.Am.Chem.Soc.113. 7785-7787 (1991)
-
[Publications] M.Kira: "Reactive intermediates and mechanistic aspects of organosilicon photoreactions" “Frontiers of Organosilicon Chemistry",Ed.by A.R.Bassingdale and P.Gasper,The Royal Society of Chemsitry. 134-144 (1991)
-
[Publications] M.Kira: "The first matrixーisolation and elecronic structure of vinylーsubstituted silylenes" Tetrahedron Lett.33. 243-246 (1992)
-
[Publications] M.Kira: "Siloxycarbenium tetrakis[3,5ーbis(trifluoromethyl)phenyl]borates and their role in reactions of ketones and nucleophiles" Chem.Lett.(1992)
-
[Publications] M.Kira: "An NMR study of silicenium ions and their ether adducts in solution" J.Am.Chem.Soc.,. (1992)