1991 Fiscal Year Annual Research Report
微生物および酵素機能を用いたフェロセン誘導体の不斉反応の研究
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02640377
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
泉 多恵子 山形大学, 工学部, 助教授 (10007031)
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Keywords | 光学活性フェロセン化合物 / パン酵母 / リパ-ゼ酵素 / 面不斉化合物 / 不斉還元反応 / 不斉エステル交換反応 |
Research Abstract |
架橋フェロセン化合物に対する酵素反応の検討を行った。上下の環を炭素鎖3個、あるいは4個で架橋した[3]ーあるいは[4]ーフェロセノファン化合物に対して2ーの位置あるいは3ーの位置にアルデヒド基を持つ基質4種類を合成し、まずパン酵母環元を試みたところ、架橋の長さは反応にはあまり影響を与えず、しかし、置換基の位置が架橋から2ーの位置にあるか3ーの位置にあるかで絶対配置で逆転した生成物を与える事がわかった。さらに、[3]フェロセノファン化合物で置換基にヒドロキシメチル基を2ーあるいは3ーの位置に持つ2種類の基質に対するリパ-ゼ酵素(リポザイム)による不斉エステル交換反応を行ったところ、R体がエステル換され、S体が回収されることがわかり、置換位置の差は見られなかった。次ぎに、同一環上で炭素鎖6個で架橋したendoー1,2ー(αーヒドロキシテトラメチレン)フェロセンに対する酵素反応の検討を行った。この場合、不斉点は3ケ所となり複雑となるのであるが、架橋によって組み合わせとしては2種類になるため、結果はどの組み合わせが反応するかを見ればよいこととなる。パン酵母によるケトン基の還元は、反応が進行しなかったが、リパ-ゼPSによる不斉エステル交換反応と不斉加水分解反応が進行することを確かめた。不斉エステル交換反応においては、アシル化劑を3種類変えて行い、反応溶媒もヘキサン-トルエンやジイソプロピルエ-テルについて検討した。アシル化劑が酪酸無水物、溶媒がジイソプロピルエ-テルの場合、生成エステルが99%e.e.,回収アルコ-ルが94%e.e.という高い光学収率を示す反応条件の組み合わせを見いだした。また、同じ基質をエノ-ルアセテ-ト体としてリパ-ゼPSを用いての加水分解反応を行い、反応が速やかに進むことを見いだしたが、光学純度は条件によってかなりばらついた。メソ体に関する検討は、すでに前年度において終了している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Taeko Izumi: "Enantioselective Reduction of 1,2ーDiformylferrocene by Baker's Yeast." J.Chem.Tech.Biotechnol.,. 50. 571-573 (1991)
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[Publications] Taeko Izumi: "Enzymatic Resolution of Planar Chiral Ferrocene Derivatives." J.Chem.Tech.Biotechnol.