1991 Fiscal Year Annual Research Report
アミド型窒素原子の1、3ー相互作用ーーその可能性と限界
Project/Area Number |
02640384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 敬人 東京大学, 教養学部, 教授 (80012384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 伸 東京大学, 教養学部, 助手 (20182818)
小川 桂一郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (50114426)
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Keywords | ダイナミックNMR / アミドの平面性 / 束縛回転 / NMR / ベンズアミド / 回転障壁 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
平成3年度は、アミド型窒素の1、3ー相互作用が可能な系をもう少し増やしてみたいと考え、1、3ージアザシクロヘキサン(A)、1、3ージアザシクロペンタン(B)などを予定していた。 しかし、結局本年はこれらの化合物に関しては合成したのみにとどまり、X線結晶解析による構造解析、ダイナミックNMRによる動的挙動の追跡と、速度過程の障壁の評価を行ったのは、1、3、5ートリベンゾイルー1、3、5ートリアザシクロヘキサン(C)についてのみであった。 結果は既に論文として発表した(雑誌論文参照)。X線結晶解析の結果、窒素まわりの立体化学はほとんど平面構造であり、1、3ー関係ではアミドの平面性におおきなずれはないようである。しかし、ダイナミックNMRでは、障壁の高いアミドの束縛回転の他に、第二の速度過程が観測された。これは僅かに非平面性を残すアミド窒素の反転または環の反転と考えられるが、障壁が低く、-100℃でも完全には凍結しなかったので、はっきりと速度過程の原因を帰属することは出来なかった。この点については、さらに量子力学計算等の方法で明かにしたい。 その他に、研究の基礎を固める目的で、窒素を含む環式化合物の動的過程を追跡する方法としての動的NMRに関する総説を執筆した。これは、この分野の最新の総説であり、今後多くの化学者の利用するところとなろう。
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[Publications] K.ogawa,S.Yoshimura,Y.Takeuchi,A.Katritzky,R.Murgen: "Structure of 1,3,5ーTribenzoylperhydroー1,3,5ーtriazine" Acta Crystallographica. (1992)
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[Publications] J.B.Lambert and Y.Takeuchi(ed.),Y.Takeuchi: "Cyclic Organonitrogen Stereodynamics“Nuclear Magnetic Resonance Methods"" VCH, 21 (1991)