1990 Fiscal Year Annual Research Report
分子内捕捉を利用したホスファ-Cope転位の機構解明
Project/Area Number |
02640385
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 理学部, 講師 (80011766)
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Keywords | ホスファ-Cope転位 / 3ーホスファ-1,5ーヘキサジエン / 分子内捕捉 / 活性化パラメ-タ / 溶媒効果 / 協奏的機構 |
Research Abstract |
1.分子内捕捉が期待できる3ー(2ーヒドロキシメチルフェニル)ー3ーホスファ-1,5ーヘキサジエン=3ーオキシド(1a)およびその5ーメチル体(1b)は以下の経路で合成した。エチル=(アリルおよびメタリル)ビニルホスフィナ-ト(2a,b)を合成し、塩化チオニルでクロロ化後、臭化2ーテトラヒドロピラニロキシメチルフェニルマグネシウムとテトラヒドロフラン中反応させ、脱保護し、1a,bを44および65%得た。まず、1aをoージクロロベンゼン中Ar雰囲気下加熱したところ、分子内捕捉ホスファ-Cope転位生成物3ー(5ーペンテニル)ー1,3ージヒドロ-2,3ーベンゾオキサホスホ-ル=3ーオキシド(3a)と1aのアリル基の二重結合がシフトした化合物(4a)が61および14%の収率で得られた。1bを用いると定量的に3bが得られたので、以後の検討は1bで行った。ヘキサノ-ル中でも分子内捕捉生成物のみが得られた。2.溶媒効果を調べるために内部標準としてトリフェニルホスフィンオキシドを用い、各溶媒中GLCで1bの消失速度を求めた。反応は1bに対して1次であった。溶媒としては極性の異なるoージクロロベンゼン、ヘキサノ-ル、ニトロベンゼンを選び各温度での速度定数を求め、活性化パラメ-タを算出した。△G^≠はそれぞれ33.1,33.2および32.9kcal mol^<ー1>であり測定誤差内で一致したことより遷移状態はほとんど無極性であること、△H^≠,△S^≠もCope転位であるとして報告されている例と同様な傾向であることから本反応も協奏的機構で進行していると結論された。3.他の例として、2a,bを同様にクロロ化後、1,3ープロパンジオ-ルと反応させ、3ー(3ーヒドキシプロポキシ)ー3ーホスファ-1,5ーヘキサジエン(5a,b)を合成した。5a,bも同様な反応をし、分子内捕捉生成物を与えることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kawashima: "The PhosphaーCope Rearrangement of 3ーArylー3ーphosphaー1,5ーhexadiene Derivatives"
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[Publications] T.Kawashima: "Solvent Effects in the PhosphaーCope Rearrangement of 3ーArylー3ーphosphaー1,5ーhexadiene 3ーOxide"