1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640426
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 ツトム 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
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Keywords | メタロセン / チタノセン / 不斉合成 / シクロペンタジェン / インデン / 四塩化チタン |
Research Abstract |
光学活性なメチレン鎖で架橋されたメタロセンの合成とその不斉反応への応用を目的にして本研究を開始した。 目的化合物である光学活性メタロセンの架橋メチレン鎖部分は、(S、S)ー酒石酸ジエチル、(S)ー乳酸エチル、(2S,3S)ー2,3ーブタンジオ-ル、(S)ー1,3ーブタンジオ-ル、あるいは(2S,4S)ー2,4ーペンタンジオ-ルなどの入手容易な光学活性化合物から誘導した。一方、シクロペンタジエニル基部分には比較的安定なインデニル基を導入した。これらを結合させて得られた光学活性なジインデニル配位子と四塩化チタンあるいは四塩化ジルコニウムとの反応による光学活性メタロセンの合成は予想外に困難であり、多くの場合は多解生成物しか与えなかった。そこで、詳細な反応条件の検討などを行った結果、(R)ー1,3ージ(1ーインデニル)ブタンあるいは(2R,4R)ー2,4ージ(1ーインデニル)ペンタンと四塩化チタンとの反応で、9〜11%の低収率ではあったが結晶性の光学活性なチタノセンの合成に成功した。しかし、本反応生成物の構造を400MHzNMR、IR、元素分析、質量分析、X線解析などで決定したところ、予想に反してメタロセン上の二つのインデニル置換基がシスになったエクリプス型(1)であることが判明した。不斉反応の触媒としてこの錯体を用いてもエクリプス型の1では高い不斉誘起は期待されない。トランス体(2)への光異性化なども検討したが、不成功に終わった。極く最近、R.L.Haltermanらは軸不斉を初めて架橋鎖に導入してトランス配置の光学活性メタロセンの合成を達成している(Organometallics,10,2998(1991))。筆者らも更に適当な光学活性架橋鎖を検討すれば2の様なトランス体の合成が可能と考えている。
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