1990 Fiscal Year Annual Research Report
オルニチン残基のδーアミノ基を保護しないペプチド抗生物質グラミシジンSの新合成法
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02640428
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田巻 誠 東邦大学, 理学部, 講師 (00104141)
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Keywords | グラミシジンS / ペンタペプチド / 環化反応 / オルニチン残基 / 無保護 |
Research Abstract |
Orn残基のδーアミノ基を保護していないGramicidin S(GS)関連ペンタペプチドの環化反応について現在まで以下の研究を行った。 1.DーPheーProーValーOrnーLeuーONSuの環化反応においてGSの生成を見出した。また,Val,Orn,bーPhe,Pro各残基をC端とするペンタペプチドのスクシンイミドエステルの環化反応においても、それぞれGSとは異なるが環状ペプチドと考えられる生成物の存在が薄層クロマトグラフィ上で確認されていたのでこれらの単離を試みほぼ完了した。 現在アミノ酸配列の違いによりどのような化合物が生成しているか検討している。 2.DーPheーProーValーOrnーLeuーONSuの環化反応において各構成アミノ酸の側鎖の影響を検討するために4位のOrn残基を側鎖にメチレン基が1つ多いLys残基,またLeu残基の側鎖のイソプロピル基を立体障害の少ないメチル基を持つAla残基あるいは側鎖のないGly残基で置換したBocーDーPheーProーvalーLys(Boc)ーLeuーOH,BocーDーPheーProーValーOrn(Boc)ーAlaーOH,BocーDーPheーProーvalーOrn(Boc)ーGlyーOHの合成を行った。現在その環化反応について検討中である。 3.GSと同様の機構で生合成されると考えられる抗菌性ドデカペプチド,Gratisin,cyclo(ーValーOrnーLeuーDーPheーProーDーTyrー)_2,の環化反応についてGSと同様の検討を行う目的で BocーDーPheーProーDーTyrーValーOrn(Boc)ーLeuーOHの合成を行った。さらにBocーDーPheーProーTyrーValーOrn(Boc)ーLeuーOHの合成を計画している。今後これらの環化反応について検討を予定している。 以上今後ともなぜLeu残基をC端にもつアミノ酸配列でのみGSが他の副生成物に優先して生成するのかその反応機構を合成的手段ならびにCD,NMR等によって検討して行きたい。
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