1990 Fiscal Year Annual Research Report
コンプレキサンによる水汚濁機構とその制御に関する研究
Project/Area Number |
02640449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村本 茂樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (50033121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60033122)
青山 勲 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (10026239)
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Keywords | 水圏生態系 / 人工コンプレキサン / 界面活性剤 / 富栄養化 / 金属毒性 / 水生動植物 / 環境浄化 / 微生物分解 |
Research Abstract |
人工コンプレキサンの水圏生態系における運命と汚染への影響に関する研究を目的としている。本年はコンプレキサンの一種である洗剤などに含有される界面活性剤(Sodium Laurylsulfate,SLS)を指標物質とし、(1)河川水中の一日の濃度変化と流程に伴う濃度変化、(2)河口部の湖水中の分布及び季節的濃度変化を調査検討した。その結果現在までに得られた結果は次の様である。(1)SLSの河川水中の運命は住宅の密集する団地、市街地の直下では、洗濯、食事等の時間帯に最高680ppbの高濃度を示した。逆に、深夜の睡眼時間帯には最低29ppbの低濃度を示した。すなわち、SLSの一日の濃度変化は人間生活のパタ-ンと呼応し、生活排水の影響が極めて大きく反映する結果が認められた。また、河川流程約15Kmにおいて、流下に伴い水田地帯を迂回した水等の希釈によりSLS濃度は低下傾向にあった。(2)河口部の人工湖(児島湖)における湖内水のSLSの濃度分布は5月(74ー355ppb),7月(57ー377ppb),9月(79ー380ppb),12月(71ー394ppb)の範囲であった。冬季は夏季に比べ高濃度になる傾向がみられた。夏の高温時と冬の低温時における微生物分解の差異が影響していると考えられる。湖内水中の垂直分布は概して表層水〉底層水の関係にあったが、一部の地点で底層に高い傾向がみられた。これは浮遊物質等への吸着による底層への移動も推察されるが、明白ではない。なお、他のコンプレキサン、EDTA等の分析および藻類繁殖、水生動植物へのこれらの影響実験も進行中である。
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