1990 Fiscal Year Annual Research Report
モリブデンクラスタ-錯体の構造と分子物性の配位子依存性
Project/Area Number |
02640472
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 康之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (30144330)
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Keywords | モリブデン / クラスタ-錯体 / チオフェノラ-ト / 金属原子間結合 / 酸化電位 |
Research Abstract |
本研究においては,第16族元素化合物を配位子とする新規モリブデン六核クラスタ-錯体の合成,構造,物性,ならびに反応について研究を進め,以下のような新らしい知見を得た。 二塩化モリブデンとナトリウムチオフェノレ-トあるいはナトリウムヘキサンチオレ-トとをピリジン溶媒中で反応させることにより,チオフェノラ-トあるいはヘキサンチオラ-トをキャップ配位子とする新規モリブデン六核クラスタ-錯体を低収率(5%程度)ではあるが合成できることを見出した。現在,これら新規錯体を高純度で単離すること,収率を改善すること,ならびにX線構造解析用単結晶を成長させることを目指し,研究を続行中である。 チオフェノラ-トあるいはヘキサンチオラ-トをキャップ配位子とするこれら新規モリブデン六核クラスタ-錯体は,塩酸酸性条件下では容易に,フェニル基あるいはヘキシル基を脱離し,イオウ原子をキャップ配位子とするモリブデン六核クラスタ-錯体と,モリブデン三核クラスタ-錯体へと反応することを見出した。 チオフェノラ-トをキャップ配位子とする新規モリブデン六核クラスタ-錯体を一電子酸化して常磁性クラスタ-錯体を生成する電位は,相応する塩素をキャップ配位子とするモリブデン六核クラスタ-錯体の酸化電位に比較して約0.5ボルト低く,このことはこれらクラスタ-錯体の最高被占軌道がキャップ位の配位子上に大きく非局在化していることを示唆している。
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