1990 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体および有機金属錯体の挿入による新規なVOPO_4層間化合物に関する研究
Project/Area Number |
02640477
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029182)
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Keywords | バナジウム / バナジルリン酸塩 / 層間化合物 / フェロセン / フェロセン誘導体 / 酸化還元 |
Research Abstract |
フェロセンあるいはその誘導体Fe(C_5H_5)(C_5H_4R)[R=Me,Et,CH_2OH,(CH_2)_2OH]を過剰に含んだエタノ-ル中にVOPO_4・H_2O・EtOHを懸濁させ、3ー7日間室温で攪拌することにより、これらの有機金属錯体を層間に挿入した化合物VOPO_4・H_2O・(フェロセン誘導体)x(X=O.19-0.35)を得た。挿入された分子は酸化されてフェロセニウム誘導体カチオンとなり、一方、バナジウムは4価に還元される。その強いESRシグナルがg=1.98付近に観測される。反射スペクトルにおいては、カチオンに特徴的なバンドが620nm付近に現われる。錯体の挿入によりVOPO_4層間距離は4.7-6.2A^^゚増大する。この距離から、挿入されたフェロニウム核の配向は二種類あることを明らかにした。 Fe(C_5H_5)[C_5H_4(CH_2)nN^+Me_3]I^-(n=1,2)とVOPO_4・H_2O・EtOHとの反応により、I^-イオンによってバナジウムは還元され、層間への鉄錯体の挿入が起こる。このとき還元されたバナジウム(IV)にアンモニウム基が接近し、他のバナジウム(V)位にフェロンセン核が接近しうる程度によって、すなわち、メチレン鎖長のちがいにより、バナジウムー鉄核間の酸化還元反応に差が生じることが明らかとなった。また、Fe(C_5H_5)[C_5H_4(CH_2)_2N^+HMe_2Cl^-]とVOPO_4・H_2O・EtOHの反応においては、鉄ーバナジウムの酸化還元反応によって錯体は挿入され、両者の常磁性核どうしの電子的相互作用は、バナジウム(IV)によるESRシグナルを顕著にブロ-ド化することを見出した。今後、挿入された錯体とVOPO_4層との電子的相互作用を、錯体の構造および層間での配向と関連づけてさらに検討する。
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Research Products
(1 results)