1991 Fiscal Year Annual Research Report
多座配位子を含む八面体型錯体の異性化機構に関する研究
Project/Area Number |
02640481
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
川口 浩 高知大学, 理学部, 教授 (50036571)
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Keywords | コバルト(III)錯体 / 異性化反応 / 反応機構 / 立体選択性 / 不斉反転 / 光学活性 / 絶対配置 |
Research Abstract |
1.[Co(eddp)(en)]^+の3異性体の構造決定 6員環キレ-トをもつ[Co(eddp)(en)]^+系ではα,β_1,β_2の3種の異性体が単離され,光学分割された。これら3異性体のX線結晶解析を行い,絶対配置を含めその構造を決定した。2種のβ型異性体は図1の(a),(b)に示すようなconformational isomerismによるもので,このような異性体が共に単離されたのは始めてである。conformation解析の結果はβ_1よりβ_2が少し安定で,今回の実験結果でのβ_1とβ_2の平衡比率の結果と一致する。 2.[Co(eddp)(en)]^+の3異性体間の異性化 β_1とβ_2の間の異性化はCo(III)まわりの絶対配置を保ったまま進むことから,配位不斉窒素原子の反転反応であることが明かになった。この反応は[Co(NH_3)_4(sar)]^<2+>等で提案されている機構で説明できるが,その速度は[Co(NH_3)_4(sar)]^<2+>等に比べてかなりおそい。αと2種のβ(β_1とβ_2)の間の配位座交換反応は,5員環キレ-トをもつ[Co(edda)(en)]^+系や[Co(edda)(gly)]系(平成2年度に報告)と同様のCoーO bondーrupture機構(図2)で説明できる。CoーN(en) bondーrupture機構やtwist機構では説明できない。過去の異性化反応をこの機構を使って再検討する必要がある。
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