1992 Fiscal Year Annual Research Report
ホタルの発光コミュニケーションの進化に関する行動学的および分子生物学的研究
Project/Area Number |
02640515
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Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
大場 信義 横須賀市自然博物館, 学芸員 (60100153)
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Keywords | ホタル / 発光コミュニケーション / 行動学 / 分子生物学 / 発光パターン / 遺伝子 / 進化 / アイソザイム |
Research Abstract |
ホタル亜科の発光行動と遺伝子解析 1)生態調査および採集 ホタル亜科ホタルとしてヒメボタル(大型・小型集団)、ツシマヒメボタル、ヤエヤマヒメボタル、クロイワボタル、ヘイケボタル(北海道・本州)、キイロスジボタル、オキナワスジボタル、ゲンジボタル(西日本型・東日本型)の生態や行動を明らかにした。特にゲンジボタルやヒメボタルでは、高感度TVカメラにより発光パターンを記録し、各種および地域集団の発光パターンの違いをコンピュータ解析した。採集資料は冷凍保存した。 2)アイソザイムの解析 ホタルの抽出液を電気泳動にかけ、酵素のアイソザイム対立遺伝子を検出した。今回はHotaria属、Luciola属、Curtos属などのホタル類を重点的に研究を進め、系統類縁関係を総合的に明かにした(動物行動学会・動物学会にて発表)。さらに、ヘイケボタルについては、分布拡散経路が異なると推定される北海道の集団と本州の集団の遺伝的距離を解析した。以上の観点からホタル亜科ホタルの系統関係と発光パターンを対応づけて発光コミュニケーションの起源を総合的に考察した。以上の結果、ホタルの遺伝子解析結果から得られた系統関係は形態学的分類よりも、発光パターンや行動による分類に結果よく対応した。さらにヘイケボタルは人為的分布拡散と自然分布拡散が重なった形で現存し、北海道の集団はシベリヤ経由で侵入したと考えられた。また冷凍保存してあるホタル資料について、ルシフェラーゼDNAをバイオアッセイして遺伝学的測定を実施しつつあり、免疫学的検討からホタルの系統を研究しつつある。以上の成果に加え、沖縄県西表島で発見された新種のホタルは発光コミュニケーションの進化過程を推定する上で重要な知見となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大場 信義: "行動目的によって劇的に発光部位を変える特異なホタル" 昆虫学会第51回大会・応用動物昆虫学会第35回大会合同大会講演要旨. 47- (1991)
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[Publications] 大場 信義: "Reflex bleeding of fireflies and prey-predator relationship." 22nd Internatioral Ethological Conference Abstract. 31- (1991)
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[Publications] 鈴木 浩文: "Biochemical systematic of the firefly which smits similar pattern." Zool.Sci.8. 179- (1991)
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[Publications] 鈴木 浩文: "Phylogery in Luciolinal and Flash patlern." Zool.Sci.9. 1309- (1992)
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[Publications] 大場 信義: "オオマドボタルとクロマドボタルの形態および習性" 横須賀市自然博物館研究報告. 1-6 (1992)
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[Publications] 大場 信義: "オキナワスジボタルおよびクロイワボタルの飛翔発光活動." 横須賀市自然博物館研究報告. 7-10 (1992)