1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 裕穂 東北大学, 理学部, 助教授 (10165293)
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Keywords | 木部細胞 / 細胞分化 / 管状要素 / differential screening / 遺伝子導入 / アグロバクテリア / ヒャクニチソウ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
この研究の目的は、木部細胞分化過程で現れる分化特異的な遺伝子の役割と発現調節機構を分子生物学的手法を用いて解析することにより、植物細胞分化機構解明に迫ることにある。本年は、分化特異的に発現する遺伝子の単離と、遺伝子導入系の確立に専心した。 1.木部分化特異的遺伝子の単離:ヒャクニチソウ単離葉肉細胞を分化誘導培地に移し、管状要素(道管・仮道管細胞)分化を誘導した。この分化途中にある細胞(培養後48時間目の細胞)のmRNAをもとにcDNAライブラリ-を作成した。分化培地、非分化培地で48時間培養した細胞からのmRNAをもとにdifferential screeningを行い、先のライブラリ-から分化特異的に発現する遺伝子の単離を試みた。約45000のプラ-クをscreeningしたところ、分化特異的な遺伝子を5個単離することができた。これらの遺伝子はいずれも培養後48時間目以降急激に発現するようになるものであり、ある遺伝子は形態形成に先立って、一過的な発現上昇を示した。 2.遺伝子導入系の確立:今年度は、シロイヌナズナ、ヒャクニチソウ、ニンジンの3種の植物への遺伝子導入系の確立を試みた。カリフラワ-モザイクウィルスのプロモ-タ-とβーグルクロニダ-ゼの融合遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子をアグロバクテリア(EHA101)を用いて植物に導入した。シロイヌナズナでは、特定の品種の根と下胚軸を用いトランスジェニック植物が得られた。また、ヒャクニチソウでは葉切片にアグロバクテリアを接種することにより高頻度のトランスジェニックカルスを得ることができた。このカルスからの植物再生系とニンジンへの遺伝子導入系は今後の課題として残された。
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[Publications] Sugiyama,M.,Fukuda,H.,and Komamine,A.: "Characteristics of the inhibitory effct of 5ーfluorodeoxyuridine on cytodifferentiation into tracheary elements ofisolated mesophyll cells of Zinnia elegans." Plant Cell Physiol.31. 61-67 (1990)
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[Publications] 福田 裕穂(柴岡 弘郎編): "生長と分化「現代植物生理学3」" 朝倉書店, 94-113 (1990)