1990 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌の発生分化におけるDNAトポイソメラ-ゼIIの役割
Project/Area Number |
02640518
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (80091908)
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Keywords | 細胞性粘菌 / DNAトポイソメラ-ゼII / 発生分化 / クロ-ニング / 合成オリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
1。細胞性粘菌Dictyostelium discoideumのDNAトポイソメラ-ゼIIのアミノ酸配列を決めたり、抗体を作成したり、酵素の性質を調べる目的で、この酵素の精製を行なっている。最終的に得られた活性分画に170kDaと120kDaの2つの主要なポリペプチドが確認されたが、収量が極端に悪い。1段階まえの試料を用いて両バンドをV8プロテア-ゼ処理してペプチドマッピングを行なっているが、120kDaのバンドが170kDaの部分分解物であるのか否かの結論は出ていない。 2。他生物のこの酵素のアミノ酸配列を比較してその共通な配列個所に注目し、細胞性粘菌のコドン使用頻度を考慮に入れて5種の合成オリゴヌクレオチドを作り、それをプロ-ブにて3.8kdのHindIII断片を持つプラスミドクロ-ンをポジテブクロ-ンとして得た。クロ-ン化したDNAの塩基配列を決定し、その解析からこの断片はトポイソメラ-ゼIIの約70%(991アミノ酸)の領域と機能不明のORFの一部を含んでいることが分かった。他生物のこの酵素との比較から、ATPase領域、DNA鎖の切断と再結合を触媒する領域とその活性部位(アルギニンに隣接したチロシン残基)が存在した。DNAとの結合に関与していると考えられているC末端領域のアミノ酸は生物間であまり保存されていないが、電荷を持ったアミノ酸がC末端領域に多く存在していた。また、カルモジュリン依存性プロテインキナ-ゼとプロテインキナ-ゼCがリン酸化しうると考えられるセリン残基とスレオニン残基が三か所存在していた。また、この断片をプロ-ブとしてサザン法で調べると、この遺伝子は単一コピ-であった。
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