1990 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻における低温誘導性遺伝子群の単離とその構造および発現様式の解析
Project/Area Number |
02640519
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 東京大学, 理学部, 助手 (40154075)
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Keywords | ラン藻 / 低温誘導遺伝子 / アミラ-ゼ |
Research Abstract |
ラン藻Anabaena variabilisのゲノムDNAをλEMBL4に組み込んだ遺伝子ライブラリを作製し,differential screeningにより,低温で発現が誘導される遺伝子を単離した。スクリ-ニングでは,38℃の一定温度で生育した細胞および22℃にシフト後2.5時間の細胞のそれぞれから得たRNAを鋳型としてPー32ラベル一本鎖cDNAを合成してプロ-ブとし,38℃プロ-ブとはほとんど反応せず,22℃プロ-ブとは強く反応するクロ-ンを選択した。さらに,得られたクロ-ンDNAをプロ-ブとしてノ-ザンブロットを行い,低温シフトによる発現誘導を確認し,現在までに2個のクロ-ン(Lti2,Lti46)が得られた。各クロ-ンには遺伝子の一部しか含まれいてなかったので,さらにこれらのクロ-ンDNAをプロ-ブとしてスクリ-ニングを行い,遺伝子の残りの部分を含むクロ-ンを得,最終的にはそれぞれの遺伝子全体を含むクロ-ンを再構築した。それぞれのクロ-ンについて塩基配列を調べ,さらにSl法により転写領域を確定した。Lti2の転写産物は2.0kntで,これには552個のアミノ酸残基からなるORFが含まれており,これはαアミラ-ゼと類似のアミノ酸配列をもっていた。Lti46の転写産物には0.7knt,1.6knt,2.5kntの3つの大きさのものがあり,2.5kntのものは0.7kntと1.6kntのものおよび中間領域を含む転写産物であった。0.7knt転写産物には120個のアミノ酸残基からなるORF1が,1.6knt転写産物には180アミノ酸残基からなるORF2と215アミノ酸残基からなるORF3がそれぞれ含まれていたが,どのORFも既知タンパクのアミノ酸配列との著しい相同性はなかった。両遺伝子の各転写産物の量は38℃では微量であり,22℃へのシフト後1時間で約10倍になったが,その後次第に低下するという,一過性の発現を示した。今後,キメラ遺伝子を作製して,発現調節をさらに詳しく研究してゆくことにする。
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