1990 Fiscal Year Annual Research Report
海藻類生殖細胞の放出・着生機構、特に紅藻胞子の自家着生抑制物質の解明
Project/Area Number |
02640532
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舘脇 正和 北海道大学, 理学部, 教授 (50000881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 稔 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000855)
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Keywords | 紅藻類 / 胞子着生 / 胞子発芽 / 温度条件 / 自家着生抑制物質 / イコサペンタエン酸 / 不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
紅藻類の生殖細胞である不動胞子は放出されると水中を浮遊し、やがて沈下して基物に付着して発芽するが、多くの種類で胞子放出時に、その着生を阻害する自家着生抑制物質も分泌していることが発見された。本年度の研究では、放出胞子が確実に発芽する実験系を確立するために、まず紅藻数種(アカバ、フジマツモ、ダルス、クシベニヒバ等)の果胞子及び四分胞子について、放出後の着生率と発芽率について、低定温庫内で温度段階を厳密に設定して温度の影響を調べた。その結果、各種とも採集地の海水温度よりも3ー5℃低温条件を保つことによって、マイクロピペットによる洗浄を3ー5回しても90%以上が着生し発芽することが確められた。次に胞子着生の自家抑制物質の単離・同定については、主にアカバを材料として行われた。まず、アカバのメタノ-ル抽出物について、各種クロマトグラフィ-(イオン交換・吸着及び高速液体等)によって分画し、質量スペクトルを解析して、この化合物がイコサペンタエン酸(5,8,11,14,17ーICOSAPENTAENOIC ACID)と推定されたが、この不飽和脂肪酸は他の種類(ダルス、クシベニヒバ等)にも共通して存在していることが確認された。現在これら抑制物質と思われる化合物が、種特異性を示す時にそのまま各種に単に濃度差によって作用しているのか、あるいは何らかの特異物質がプラスされるのかについて実験中である。また同様な発芽・生長抑制物質として、褐藻類のウミトラノオ、マツモ、カヤモノリ等からオクタデカテトラエン酸(6,9,12,15ーOCTADECATETRAENOIC ACID)が共通して存在していることも確められ、この不飽和脂肪酸と前者との関係についても実験が試みられている。
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Research Products
(1 results)