1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市村 輝宜 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (00090481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 文絵 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 研究員 (70224376)
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Keywords | 鼓藻類 / 交配型 / 交配様式 / セルフィング / ホモタリズム / ヘテロタリズム / ミカヅキモ / 有性生殖 |
Research Abstract |
ミカヅキモClosterium ehrenbergiiの本来ヘテロタリックな交配型AのJ5ー48ー2(マイナス)株ではまれにセルフィングが起こる。J5ー48ー2を片親に持つF_1株には、高頻度にセルフィングを起こし、しかもプラス及びマイナスのどちらの交配型とも接合子を形成する株が生じた。セルフィング株を用いた交配実験において、正常なプラス株及びマイナス株との接合子及びセルフィング接合子の3種類の接合子を発芽させ、F_1及びB_1個体の生存率、交配型及びセルフィングの性質の遺伝解析を行った。その結果、セルフィングによって形成された接合子からはセルファ-のみならずプラスとマイナスの子孫が生じ、マイナス株との交配で得られた接合子からはプラズマとマイナス株が1対1、プラス株との交配で得られた接合子からはプラスに対してマイナスとセルファ-の合計が1対1に分離することを確認した。又、セルフィングクロ-ンにおいて対合中の配偶子嚢を剥離し、各々のペアを再びクロ-ン培養するとプラスとマイナス、プラスとセルファ-、プラスとプラスの組合せの株が得られ、マイナスとナイナスやマイナスとセルファ-の組合せは得られない事実をも確認した。以上の実験結果から、1.セルフィングの性質はマイナスの子孫のみに伝わること、2.セルフィング株のクロ-ン培養中に体細胞分裂により、セルフィングの性質を保持したマイナス細胞以外に正常な(セルフィングを行わない)マイナス及びプラスの細胞を生じること、3.マイナスより転換したプラスの細胞は体細胞分裂だけではなく減数分裂を経ても安定なプラスの交配型の遺伝子を保持していることなどが結論された。この事は、このミカヅキモの交配型遺伝子がマイナスからプラスへと一方向不可逆的に転換することによると考えられ、その転換の機構について目下研究を続行中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Fumie KASAI: "A sex determining mechanism in the Closterium ehrenbergii (Chlorophyta) species complex" Journal of Phycology. 25. 195-201 (1990)
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[Publications] Fumie KASAI: "Temperature optima of three closely related mating groups of the Closterium ehrenbergii species complex" Phycologia. 29. 396-402 (1990)
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[Publications] Terunobu ICHIMURA: "Sexual bipolarity as a basic concept for both homoーand heterothallism in microalgae" Abstracts of Papers for the Symposium:Culture Collection of Algas,NIES,Tsukuba,15 Feb.1991.
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[Publications] Terunobu ICHIMURA: "Selfing by matingーtype switching in an isogamous heterothallic alga,Closterium ehrenbergii" Genetics.
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[Publications] Terunobu ICHIMURA: "Mating systems and speciation in haplontic unicellular algae.In(S.Kawano ed.)“Biological Approaches and Evolutionary Trends in Plants"" Academic Press,London, 195-201 (1990)