1990 Fiscal Year Annual Research Report
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02640540
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渡辺 邦秋 神戸大学, 教養部, 教授 (80031376)
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Keywords | 葉緑体DNA / 分子系統樹 / 少数染色体数 / 核型の進化 / 種間交雑 / キク科 / ブラキスコ-ム属 / 砂漠植物 |
Research Abstract |
キク科ブラキスコ-ム属はオ-ストラレイシア地域に固有で約70種からなる植物群であるが、本属の染色体基本数には被子植物で最も少ないX=2から15に亘る著しい異数系列が見つかっており、染色体進化の研究対象としてきわめて興味深い材料である。本研究は、n=2を含む群の系統関係を分子系統学的手法を用いて解析すると同時に、従来の細胞遺伝学的手法で得られた情報と総合することで、少数染色体数が生じた過程とそこに働いた機構を明らかにしようとするものである。 一昨年の採集で十分量の材料が得られた本属15種の植物を育成し、CTAB法により全DNAを抽出した。それらのDNAを20種の制限酵素で切断し、アガロ-ス電気泳動法によりDNA断片を分離した後、葉緑体DNAをプロ-ブとしたフィルタ-交換法によりDNA断片長変異のデ-タを得た。昨年オ-ストラリアの共同研究者が採集・送付してくれた新たな10種の材料についても上記の方法でデ-タを出し、系統樹を作成する予定である。 細胞学的および細胞遺伝学的成果は、一昨年の採集で持ち帰った固定標本、23種153個体の染色体数を調査し、5種で初めて染色体数(n=3、1種、n=4、3種、n=6、1種)を決定し、2種で新しい細胞型を見つけた。11種で、初めて詳細な核型を分析し、3種で詳細な細胞地理学的情報を得た。このデ-タは論文にまとめの投稿中である。19組合せで種間交雑を行ない種子を得た。分析の終了したBrachyscome goniocarpa(n=4)×__B.dichromosomatica(n=2)のデ-タは論文にまとめ投稿中である。 タンパク質レベルの変異から系統樹を作成する目的で、デンプンゲル電気泳動による酵素多型の予備的調査も行なったが、種間の違いが大きすぎてバンド間の対応がつかず、系統樹作成にはあまり有効な情報が得られないことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺 邦秋: "オ-ストラリア被子植物相の起原と進化" プランタ. 13. 18-30 (1991)
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[Publications] Kuniaki Watanabe: "Chromosome number determinations in Brachyscome Cass.(Asteraceae:Astereae)with comments on species delimitation,relationships and cytogeogranhy." Muelleria.
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[Publications] Kuniaki Watanabe: "The cytology of Brachyscome Cass.(Asteraceae:Astereae).11.Hybridization between Brachyscome Goniocarpa sond.dF,muell.ex Sond・(n=4)and B・dichromosomatica C.R.carter(n=2)." Australian Journal of Botany.
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[Publications] Kunaki Watanabe: "numerical analyses of karyotypic diversity in the genus Eupatorium (Compositae,Eupatorieae)." Plant Systematics and Evolution. 170. 215-228 (1990)
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[Publications] Tetsukazu Yahara: "Very low genetic heterozygosity in sexual and agamopermous population of Eupatorium altissimum(Asteraceae)." American Journal of Botany. 78. (1991)
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[Publications] 河野 昭一監修,田中 肇編集,渡辺 邦秋: "Field Watching 第2巻 秋の野山を歩く" 北隆館, 112 (1990)