1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640557
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 正樹 岡山大学, 理学部, 助教授 (30027502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 恒夫 岡山大学, 理学部, 教授 (60000816)
|
Keywords | 昆虫 / コオロギ / 交尾行動 / 生殖行動 / 行動切り替え / 性的不応期 / 性周期 / セロトニン |
Research Abstract |
本年度(平成3)は主として前年度得られたデ-タをもとに論文化(J・Insect Physiol1992)に尽力した。本研究は昆虫類の交尾行動と性周期の神経機構解明をめざしている。雄コオロギは交尾を終了すると、直ちに交尾不応状態に陥り、以後、1時間は雌に求愛せず、むしろ威嚇的となる。この行動切り替えのメカニズムはなにか。前年度、この行動切り替えは交尾中、雌雄の生殖器が結合し、雄の交接器内の感覚毛が雌の交尾乳頭で圧迫され、精包の放出がおこり,この際に最終腹部神経節でシグナルが発生すると予想した。したがって,精包放出を継起に生じる神経活動の変化が交尾不応状態の基礎にあると考えられる。このため、雄の交接器内感覚毛を刺激し、精包放出の前後の上行性感覚神経の記録を行うこと,ならびに不応期維持に関与する神経修飾物質を探索することを試みた。 現在までに明らかになったことは、第1に交尾不応期における上行性ニュ-ロンの自発性スパイク発火の減少。これについては特定のニュ-ロンが発火をやめるためと思われるがタイプは未同定である。第2に不応期形成に関与する物質としていくつかの生体アミンと関連物質を腹腔内に注入(10^<-3>M.30〜60μl)してテストした。その結果セロトニン(5HT)では不応期が約5分延長し,この前駆体の5ヒドロキシルトリプトファン(5HPT)では約10分短縮した。抑制性伝達物質のGABAでは不応期の延長,この拮抗剤バイキキュリンでは短縮がおこった。その他メラトニン,ヒスタミン,ノルアドレナリンやアミノ酸,また,CAMPやcGMPのプリン系の物質は効果がなかった。今後、さらに多くの物質でテストを行い不応期に決定的重要性をもつ物質を同定し,上行性ニュ-ロンへの作用を明らかにしたい。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Masaki Sakai et al.: "Conpulation sequence and mating termination in the male cricket Gryllus bimaculatus DeGeer" J.Insect Physiology. 37ー8. 599-614 (1991)
-
[Publications] Masaki Sakai et al.: "Postembryonic development of mating behavior in the male cricket Gryllus bimaculatus" J.Comparative Physiology. 166A. 775-784 (1990)
-
[Publications] Masaki Sakai et al.: "Mating termination in the male cricket Gryllus bimaculatus" Symposia Biologica Hungarica. (1991)
-
[Publications] Masaki Sakai: "Mating termination in the male cricket(In Neuroethology ed.K.Kubota,In press)" Nakanishi Syoten,