1990 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮における力学履歴現象の解析(滑走説における問題点)
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02640565
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| Research Institution | Teikyo Heisei University |
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Principal Investigator |
土屋 禎三 帝京技術科学大学, 情報学部, 教授 (30091036)
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| Keywords | 骨格筋 / 張力 / クロスブリッジ / 履歴現象 |
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| Research Abstract |
骨格筋を等尺性収縮状態から数%緩やかに伸長すると張力は伸長中に急速に増加し、伸長後ゆっくり減少するものの、数秒後においても等尺性張力より高く保たれる。この現象は伸長による張力増強現象と呼ばれ筋収縮における履歴現象の一つとしてよく知られている。筆者は力学的実験より伸長により筋繊維の硬さが増加する事から結合しているクロスブリッジの数が増加すること、また形態学的研究から筋繊維の格子が乱れる事をすでに示している。この現象の機構につき、外国のある研究者は、筋繊維内に収縮要素と並列に弾性要素があり、これがこの現象に関与していると主張しており、今回の研究ではこの可能性も含め検討した
カエル骨格筋の単一筋繊維を低温(2〜3℃)において、電気刺激し等尺性収縮状態から筋節長を2.6ー2.75μmまで伸長し、その後の様々な張力レベルから荷重を急速に0レベルまで低下させ、どのような短縮をするか測定した。荷重を急速に0にすると筋繊維は一過性の短縮の相を経てから定速度の最大短縮速度を示す。これらの長さ変化の記録を等尺性収縮からの短縮記録と重ね合わせ定速度に入ってからの両者の長さ変化の差を調べた。この差は増強張力に依存し、最大30nm/hs(half sarcomere)に以上に達した。従来この差は直列弾性変化による考えられてきたが、実験結果によると二つの状態における直列弾性変化は4nm/hsにすぎない。これに対する説明の一つは、収縮要素と並列に弾性要素が存在し、荷重減少後の一過性の短縮相ではこの並列弾性要素の短縮により収縮要素の短縮が増強されるとする考えである。
以上の事から、伸長による張力増強現象は単一の機構によるものではなく、直列弾性要素の伸長、結合しているクロスブリッジの数の増加格子の乱れ、並列弾性要素の関与など複数の機構が関与した複雑な現象と考えられる。
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[Publications] Tsuchiya,T.;Takei,N.: "Pressure responsee and conduction of peristaltic wave in guineaーpig ureter." Jap.J.Physiol.40;1. 139-149 (1990)
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[Publications] Tsuchya,T.;Iwamoto,H.;Tamura,Y.;Sugi,H.: "Application of scanning laser acoustic microscope (SLAM) to biological specimensーーーthe measurement of the change of stiffness of musele." J.Teikyo Univ.Tech.2;1. 47-52 (1990)
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[Publications] Tsuchiya,T.;Edman,P.: "Mechanism of force enhancement after stretch in intact single muscle fibres of the frog." Acta Physiologica Scandinavica. 140;1. 23 (1990)
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[Publications] 土屋 禎三,岩本 裕之、田村 陽次郎,杉 晴夫.: "レ-ザ-走査型超音波顕微鏡を用いた筋肉の弾性率測定." 日本電子ニュ-ス. 30;3. 6-9 (1990)
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[Publications] Tsuchiya,T.;Tamura,Y.;Iwamoto,H.;Sugi,H.: "Applicaction of scanning laser acoustic microscope to the measurement of stiffness in frog skelertal muscle." J.Muscle Res.Cell Motil.11;4. 363 (1990)
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[Publications] Sato,K.,Hori,M.,Ohyama,T.Ozaki,H.,Takano,H.,Tsuchida,T.,Sugi,H.,Kato,I.& Karaki,H.: "Phorbol esterーinduced calciumー and myoshi phosphorylationーindependent contraction in vascular smooth muscle." J.Pharmacol.Exp.Ther.(1991)
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[Publications] 土屋 禎三、杉 晴夫: "平滑筋の動力学的性質の測定法.「カルシュウムと情報伝達系」VIII章" 文栄堂出版, 8 (1991)
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[Publications] Tsuchiya,T.(translation): "Human Physiology" SpringerーVerlag, 18 (1991)
