1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640566
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡ノ谷 一夫 日本学術振興会, 特別研究員
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Keywords | 鳴鳥 / フィンチ類 / 神経ペプチド / バソトシン / 視床下部 / HVc核 / RA核 / ディスタンスコ-ル |
Research Abstract |
これまで鳴鳥の聴覚系や発声系に関する脳神経の行動生物学的研究は、ヒトの言語学習や聴覚や発声のモデルになることから、音声行動によるコミュニケ-ションの問題と神経回路形成と可塑性の問題について解析が行われてきた。しかし聴覚系と発声系の高次中枢としての神経回路網の機構と、各神経核でのニュ-ロン活動の情報処理の機能、それにホルモンによる制御などはまだ不明な点が多い。これらの問題点を明らかにすることを目的として、本研究は以下の2点について調べた。まず、1.フィンチ類のHVcとRAの発声系神経核において、神経ペプチドがどのように関与しているかについて免疫組織化学的に調べた。2.ジュウシマツについて日齢を追って音声(地鳴き)の記録解析を行い、地鳴きの発達を調べた。1.キンカチョウの発声系の各神経核は、ステロイドホルモンの作用とテストステロンの働きによって、成鳥になる過程で雌雄差が生じることが知られている。そこで間脳の視床下部や発声系の神経核における神経ペプチドであるバソトシン(VT)の関与を免疫組織化学的方法で解析した。両種は、雌雄とも視床下部に免疫陽性細胞が存在していた。また免疫陽性細胞は、室旁核(PVN)、視索上核(SON)にもみられた。一方発声系の神経核のRAとICOについて両種とも雄のみにVT繊維がみられた。ジュウシマツの雄ではHVcにVT繊維がみられた。両種の大脳辺緑系の一部である外側中隔野(LS)と視床背側部(DD)の細胞では、雄の方が雌よりも高い免疫陽性を示していた。これらの結果から神経ペプチドであるバソトシンは発声系の神経核の活性に関与していることが考えられる。2.ジュウシマツの仲間同志にみられるディスタンスコ-ルは、孵化後50日目を境として、雄に幼鳥時とは異なる音声の変化がみられた。雌は変わらなかった。地鳴きでも成鳥になると雌雄差が生じることがわかった。
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[Publications] Kimura,T.: "Localization of vasotocinーlike immunoreactive cells and fibers in telencephalon and diencephalon of zebra finches (Poephila guttata) and bengalese finches (Lonchura domestica)." zoological Science. 7. 1147 (1990)
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[Publications] Okanoya,K.: "Acoustical and perceptual structures of distance calls in bengalese finches." Zoological Science. 7. 1177 (1990)