1991 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉細胞の分化増殖機構の分子・細胞生物学的解析
Project/Area Number |
02640583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 純夫 広島大学, 理学部, 助手 (90144807)
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Keywords | 下垂体前葉 / 分化 / 細胞増殖 / 細胞生物学 / ラット / 成長ホルモン / プロラクチン |
Research Abstract |
ラット下垂体前葉の成長ホルモン産生細胞(GH細胞)とプロラクチン細胞(PRL細胞)の分化、増殖、最終分化の機構について解明することを目的とした。1.GH細胞、PRL細胞の細胞分化決定機構を明らかにするための基礎的知見として、GH細胞、PRL細胞の出現時期を免疫組織化学的及び免疫電顕的に明らかにした。GH細胞は胎齢18日に、PRL細胞は胎齢19日に発現することを明らかにした。また、出生直後の下垂体にもGH,とPRLを同時にもつmammosomatotroph(MS細胞)を観察した。MS細胞はPRL細胞の出現に先行して認められることから、PRL細胞はMS細胞から出現する可能性が示唆された。2.下垂体前葉細胞の増殖機構を調べた。streptozococinにより実験的糖尿病ラットをつくり、前葉細胞の増殖能を調べたところ、対照に比べ有意に低下していた。糖尿病ラットでは、発情ホルモンによる前葉細胞の細胞分裂促進効果も低下していた。このことから、前葉細胞の分裂にインシュリンが関係していることが明らかになった。3.前葉細胞の最終分化機構の解明の端緒として、GH分子の多様性を検討した。immunoblottingにより、GHには、18K、20K、22K、24K、40Kのisoformが存在することが明らかになった。今後、各isoformの消長と、GH分泌機能やエイジとの関係を調べる。isofomと前年度で明らかにしたGH細胞の形態学的多相性および形態学的成熟過程との関連を明らかにし、最終分化機構を解明している予定である。本研究では、増殖調節機構の分子生物学的解析を充分に行えなかったが、現在、上記第2項で得た知見を基に解析を進めている。
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[Publications] Sumio Takahashi: "Immunoーelectron microscopical study of prolactin cells in the rat:postnatal development and effects of estrogen and bromocryptine." Zoological Science. 8. 549-559 (1991)
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[Publications] Sumio Takahashi: "Immunocytochemical and immunoelectron microscopicalstudy of growth hoemone cells in male and female rats of various ages." Cell and Tissue Research. 266. 275-284 (1991)
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[Publications] Keitaro Yamase: "Circadian changes in arginine vasopressin levels in the suprachiasmatic nucleus in the rat." Neuroscience Letters. 130. 255-258 (1991)
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[Publications] Sumio Takahashi: "Growth hormone secretion in old female rats analyzed by the reverse hemolytic plaque assay." Acta Endocrinologica.
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[Publications] 日本比較内分泌学会 編,高橋 純夫(共著): "ホルモン実験ハンドブックIII実験のモデル" 学会出版センタ-, 181 (1991)