1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640590
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
在田 一則 北海道大学, 理学部, 講師 (30091408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雁沢 好博 北海道教育大学, 函館分校, 助教授 (40161400)
前田 仁一郎 北海道大学, 理学部, 助手 (50165643)
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Keywords | 日高変成帯 / 山脈上昇 / フィッション・トラック年代 / KーAr年代 / 衝上運動 |
Research Abstract |
本研究では日高山脈(日高変成帯)中部の変成岩・ト-ナル岩について,おもにKーAr年代とフィッション・トラック年代を測定し,それらの閉鎖温度の違いから日高山脈の隆起時期や隆起速度を検討し,以下の結論を得た。 1.変成帯西側のグラニュライト相岩石から分離した角閃石と黒雲母のKーAr年代によると,変成帯西側は18Maから17Maにかけて6.7mm/年の上昇(侵食)速度を示す。 2.中部日高山脈を東西に横断するKーAr黒雲母年代は変成度に関係なく17ー16Maを示す。この年代は北部日高山脈にも広く存在し,また,南部日高山脈の東側にもみられる。したがって,現在みられる日高変成帯(日高島孤地殻)の東へ急傾斜した岩層配列は17Ma頃(前期中新世最末期)には成立していたと考えられる。このことは,日高主衝上断層にそう日高変成帯(日高島孤地殻)の衝上運動は前期中新世以前に起こっていたことを示す。 3.中部日高山脈カムイエクウチカウシ山周辺では中期中新世における上昇(侵食)速度は3.5〜0.8mm/年の範囲にあり,東麓ほど急速であった。その後,上昇(侵食)速度は減少し,現在までの平均的な上昇(侵食)速度は0.5〜0.3mm/年である。この上昇運動は中期中新世とは逆に,現在の主稜部ほど大きかった。 4.ジルコンのフィッション・トラック年代は,一般にみられる傾向とは逆で,標高の高いサンプルほど若い年代を示す。このような上昇プロセスのひとつのメカニズムとして,日高島孤地殻が西側の海洋地殻と衝突した後,後期中新世以降,日高主衝上断層にそう回転運動により,主帯の現在の主稜部が東麓より急速に上昇したと考えられる。
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Research Products
(1 results)