1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640591
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川村 信人 北海道大学, 理学部, 助手 (80186147)
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Keywords | 渡島帯 / 付加体 / 砂岩シル / 高間隙水圧 / 水圧破砕 / 泥注入 |
Research Abstract |
本年度はおもに,渡島帯海岸地域において付加体内部の流動現象に関する記載的な検討を行なった. 1.砂貫入現象:松前町折戸浜海岸で砂岩シルー岩脈として観察される.その形態的特徴から,以下の4タイプが認識される.(1)塊状・厚板状タイプ,(2)分岐タイプ,(3)クサビ状タイプ,(4)密集・膨縮タイプ,一般の砂岩シルー岩脈と比較して特異と考えられるものは,(2)および(4)である. (2)は母岩の堆積構造を乱さずにクリ-ンカットするもので,脈の先端に形成されたポッド状の“reservoir"から数本の枝状分岐脈が注入するのが観察される.このような形態は,高い間隙水圧を有する砂が周囲の半固結(〜固結)状態の母岩中に水圧破砕を伴いながら貫入したことを示唆する. (4)は膨縮した形態を持つ小岩脈群が密集する特異な産状を示し,かなり高い静岩圧を持つ半固結母岩中に“forceful"に貫入ー注入したと考えられる. 2.泥流動現象:松前町札前海岸で観察される.薄層理砂泥互層中に不規則な外形を持って貫入する含チャ-ト角礫泥質岩脈.粗粒砂岩岩体(岩脈?)を伴う.泥基質は著しい流動構造を示し,岩体周辺部で母岩にlitーperーlitに注入する.高間隙水圧を獲得した“underconsolidated"な泥が,近傍に存在したチャ-ト岩体の破砕ー捕獲しながら母岩中に貫入して形成されたと考えられる. 3.角礫化現象:恵山町唐川において流体関与現象と予想された砂泥互層の角礫化について検討を行なったが,露頭状況が不良で成果が得られなかった.これについては,同様な角礫化現象が札前海岸地域に広範に認められることが上記調査に伴って判明したので,引き続き検討を行なっていきたい.
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