1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640591
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川村 信人 北海道大学, 理学部, 助手 (80186147)
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Keywords | 付加体 / 渡島帯 / 北部北上帯 / メランジ / 砂岩岩脈 / 過剰間隙水圧 / ダイアピル / 水圧破砕 |
Research Abstract |
本年度は,付加体内部の流体関与現象として砂サイズの含水堆積物の流動ー注入現象に着目し、野外で産状観察・サンプル採取を行なった. 1.浦河町日高幌別地域:本地域は,前期白亜紀ー前期暁新世付加体であるイドンナップ帯に属する.イドンナップ帯を構成する遠洋性ー陸源性砕屑岩類中に,泥クラストに富む特異な岩相を示す塊状砂岩体(MCS)が存在する.MCSは一見,泥のripーup clastを含む粗粒タ-ビダイトに類似しているが,周囲の砕屑台体との関係から,貫入ー注入体(“砂ダイアビル")と結論される. MCSの内部では,zigーsaw puzzle構造をもった泥クラストに砂基質が注入する現象が観察され,過剰間隙水圧をもった砂サイズの含水堆積物が周囲の岩体に水圧破砕を与えながら貫入したことを示している. 周囲の地質体との相互関係から,このMCSは前期暁新世以降に,イドンナップ帯の構造レベルで形成された各種岩相を貫いたこと結論される.このことは,含水堆積物における過剰間隙水圧の達成が,付加体形成後期におけるなんらかの非定常的な過程と関連していることを示唆している. 2.岩田県山田町荒川地域: ジュラ紀付加体である北部北上帯に属しており,変形した砕屑岩類とチャ-トスラブからなる.それらの中に,周囲の岩体に貫入ー注入する砂ダイアピルがいくつか存在する. これらの砂ダイアピルは,すくなくとも東北日本の付加体において,規模はどうであれ,砂サイズの含水堆積物の貫入現象が普遍的に起こっていることを示している.このことは,“sandーrichな付加体"における流体の挙動(の結果)のprototypeを示唆すると考えられる. なお,渡島帯札前海岸周辺の「角櫟岩脈」について調査を行なった.しかしその結果,この岩相は付加体の構成岩相が固結ー弱変成作用を受けた後に,何らかの流体による鉱化(〜温泉?)変質作用で形成されたことが明らかになった.したがって,この岩相は以後の本研究の検討からは除外される.
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