Research Abstract |
予定通りに研究が進行し、平成2年度内において、東北本州弧における鮮新世火山岩層の特徴の全貎を、ほぼ明らかにすることができ、その成果を公利することを得た(Shuto and Yashima,1990).現在ひき続きこれらの成果を基礎に、日本弧全域における鮮新世火山岩層の全体像を明らかにするために研究をすすめており、その一部は3か国東アジア国際シンポジウムで口頭発表され(Yashima,1990)、また、その一部は印刷中である。以下に筆者らの成果の概略をのべる。 第1に、東北本州弧における鮮新世火山岩層は,奥羽脊梁山地およびその東縁部に沿って、北より南に高堂山,御月山,高倉山,稲庭岳,青ノ木森,国見山,宮床,笹森山,大名倉山に分布し,同山地の西縁に沿うものとして青森県碇が関,福島県博士山の火山岩層が,出羽丘陵では青森県増川岳,新潟県米山,江星山の各火山岩層,日本海側では青森県久六島があげられる。これらの火山岩層は,生層序の諸資料,および,KーAr年代測定に関する八島(1990)やその他の報告によって,おおよそ鮮新世後期と位置づけられた。 第2に,これらの火山構造は,その大半が“単成火山"か“単成火山"よりなる複合火山よりなっており,その他に少数のコ-ルドロンやカルデラを示すことがわかった(八島ほか,1989:八島ほか,1990)。 第3に,東北日本弧の第四紀火山の主化学組成の示す帯状分布に対して,鮮新世火山岩層もそれに対応した傾向を示すことがわかった。また,微量成分についてもほぼそれに調和的である(Shuto and Yashima 1990)。 なお,その他の地域の北海道,関東,中部,近畿,中国,九州,千島列島およびカムチャツカ半島における鮮新世火山岩層の分布を追跡しながら,東北本州弧における前にのべた諸特徴との比較検討を,目下鋭意検討中である。
|