1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
歌田 實 東京大学, 総合研究資料館, 助教授 (50012406)
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Keywords | 白亜系関門層群 / 細粒堆積物 / 鉱物組成 / 鉄鉱物 / 炭酸塩鉱物 / 粘土鉱物 / 化学組成 / XRF珪酸塩迅速分析法 |
Research Abstract |
本年度は申請していた調査地のうち,西南日本内帯の白亜系関門層群を重点的に調査研究した。 1.サンプリングした試料のXRDによる鉱物組成分析と薄片による産状の観察を行った。その結果は以下のとおりである。(1)初生物質としては,安山岩質およびデ-サイト〜流紋岩質火山岩と黒色泥岩および石灰岩などの堆積岩がみとめられるが,下部から上部に向って前者が多くなり,上部では火山岩粒が圧倒的に卓越する。(2)細粒堆積岩には顕著な赤色,緑色,黒色を示すものがあり,それぞれ,赤鉄鉱と鉄の非晶質物質,岩酸塩と緑色粘土鉱物,黄鉄鉱を特徴鉱物として含んでいる。(3)薄片観察の結果,鉄鉱物と炭酸塩鉱物の生成は続成過程と考えられ,一般には前者の方が先に生成している。(4)粘土鉱物は緑泥石と絹雲母が主要なものであるが,絹雲母/スメクタイト混合層粘土鉱物も多く産出する。その一部は明らかに炭酸塩化の後に生成している。(5)沸石は凝灰岩中でも稀にしか生成していない。シリカ鉱物も自生鉱物としては稀である。 2.関門層群,とくにその下部は炭酸塩鉱物の量が多く,本研究で用いているXR下珪酸塩迅速分析法が適さないサンプルが多い。そのため6サンプルの湿式化学分析を行った。その結果得られた知見は以下のとおりである。(1)炭酸塩成分を除くと,火山岩の寄与が大きく,Fe_2O_3/TiO_2比からみると安山岩質〜デ-サイト質に入り,薄片観察による結果と一致する。(2)ただし,Na_2Oは著しく小さく,変質作用による影響と考えられる。(3)全鉄成分は岩石の色と関係なく比較的せまい領域に入る。赤色岩はFe_2O_3/FeO比が大きい。
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Research Products
(1 results)