1990 Fiscal Year Annual Research Report
日本海沿岸地域の第三紀酸性火成岩類の年代と同位体微量元素組成
Project/Area Number |
02640597
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺門 靖高 神戸大学, 教養部, 講師 (30127378)
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Keywords | 酸性火成岩類 / 日本海開裂 / ストロニチウム同位体比 / 希土類元素パタ-ン |
Research Abstract |
主に兵庫県〜京都府北部地域に分布する岩石について希土類元素などの微量元素の分析及びSr同位体比の測定を行った。まず、当該地域には白亜紀〜古第三紀とされる矢田川層群・宮津花こう岩などの酸性火成岩が広く分布しているが、それらの鉱物年代は約60Maであることがわかった。全岩アイソクロン図においては、点のバラツキが大きくアイソクロンは得られないが、全体的には60Maの線にそっている。したがって、Sr初生比は0.7055〜0.7080の範囲に分散する。これまでに報告されている西南日本内帯の白亜紀〜古第三紀酸性火成岩類のSr同位体比のデ-タと照合すると、鳥取県下からは、0.7055ぐらいの初生比が報告されているし、兵庫県・京都府の山陽帯では0.7075〜0.7100ぐらいの初生比が報告されているので、当該地域では、比較的低い値をもった起源物質と高い起源物質が混っているためと考えられ、これまでに知られている地域的変化傾向と調和的である。希土類元素のパタ-ンは、軽希土上がりで、白亜紀〜古第三紀の他地域の酸性岩のパタ-ンと同様であるが、Euアノ-マリ-のきわめて小さいパタ-ンを持つものが存在している。これらはマグマ発生時における高い酸素分圧を示していると考えられる。日本海開裂期の前後(約15〜4Ma)に活動した中性〜酸性岩類のSr初生比は0.7055〜0.7094の範囲にわたる。これらの値は前述の古第三紀火成岩類の値と同じ範囲とみなせる。希土類元素のパタ-ンは、軽希土上がりで重希土濃度やEuアノ-マリ-の大きさはかなり多様であるが、東北日本の日本海沿岸地域で報告されている様な水平に近いパタ-ンは得られなかった。これらの結果は、当該地域の火成活動には、日本海開裂時期に活動した、ディプリ-ティッドマントルの影響がおよんでいないことを示している。しかし、マントルが変化しなかったのか、あるいはマグマが地殻内で生じたのかは、今後さらに検討しなければならない。
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